ときめきが山ほど詰まったTHEディズニーミュージカル!/ミラベルと魔法だらけの家 感想

『ミラベルと魔法だらけの家』、大好きだった〜〜!字幕吹替両方観ました。個人的に吹替もGOOD!

Encanto -The Songs : ミラベルと魔法だらけの家 | HMV&BOOKS online - 8749507

 

なんか文句なしに100点!ってかんじの感想なんですけど、これ、話のメッセージに共感とかじゃなくて、ときめき要素(言い換えちゃうと”萌え”要素)がてんこ盛りだからこんなに好きなんでは…と思わなくもない。でもでも、ストーリーも好き!

 

だって、「みんながそれぞれ違う能力を授けられた一族」って設定がもうときめく。その中に一人”名前を言ってはいけないあの人”的な失踪した叔父さんがいる、というのも、主人公は唯一、能力を持たずに育った子っていうのも少年漫画の王道設定みたいだ。それぞれの能力に関連した風景の個室があるのもわくわくするし、そもそも”奇跡”のモチーフが1本のロウソクだったりと、ビジュアルで魅せる独特の世界観が超いい。兄弟姉妹モノとしてもきゅんとくるシーンが随所にあるし、一族の長であるおばあちゃんの壮絶な過去設定も、なんかすごく少女漫画ちっく。

そう、なんか、設定が漫画っぽいのだ。そしてそれをディズニーの最高峰の音楽と映像美で表現されているので、ときめき大爆発な世界観!!って感じだった。

 

音楽は私が去年一番聴いていた*1リンマニュエルミランダさんなので、もう本当に全曲良すぎ!!ラップ要素もたくさんあって耳に残るキャッチーな楽曲ばかり。最近ずっとミラベルのサントラを聴いてる。

特にお姉ちゃん2人のソロ曲はどっちもよかった〜〜!浅はかな私は最初、この家族何か抱えてそうってなったときに「ムキムキのお姉ちゃんは実は可愛いものが好きで、可愛いお姉ちゃんは実はもっと泥臭いものが好きとかかな」とか思ってたのですが、本当に浅はかすぎました。笑 まあ、今時そんなだとtoo typicalよね…

 

まず次女ルイーサの『Surface Pressure』


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まずもうこのキャッチーな曲調が好き!そして”drip drip drip”とか"tip tip tip"みたいに同じ音を3回重ねるフレーズが何回も出てくるのが聴いてて心地いい。ここ、吹替でも「ズンズン」「パンパンパン」みたいにうまく日本語で音がハメられてて吹替歌詞も気持ちいい!

 

ルイーサのこの曲で、あ〜この映画ってこういう話になるのかあ、と一気にわかるのですが、つまり、ミラベルは自分だけ奇跡を授けられていないことで疎外感や焦燥感をずっと抱えている…というのが主人公サイドの抱える問題なのですが、なんとこの映画ではスーパーパワーを授けられた人は常に完璧でいないといけないというプレッシャーを抱えている、という構成になっているわけです。これって、夢と魔法の王国ディズニーの生み出す物語としては逆説的で、そこがおもしろいなー!って思いました。なんの疑問ももたずに魔法の力を使いこなすのがディズニーヒロイン!みたいなとこあったからさ…

「人の役に立っているから私は生きている価値がある」「何もない私には価値がない」みたいに考えてしまう現象って何か言語化されてそうだけどぱっと思いつかない… けど、あーこういうこと思うひとって多いだろうなと思ったし(自分もこういう考えに陥って病みがち)、ルイーサの「タイムリミットが迫ってるという感覚」っていう視点は最近私が好きな概念のひとつなので、すごく印象的でした。

意外や意外、ゆめっちの吹替歌唱も上手いのよ!

 

長女イサベラは、ラプンツェルとエルサのセルフオマージュみたいなキャラで、お姫様のように可愛いルックスと女王様のように強気な性格が最高!体が大きいのはルイーサの方なんだけどお姉ちゃんはイサベラっていうの、すごいわかる。三姉妹の長女ってこう!笑

そんなイサベラの曲は『What Else Can I Do?』


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テーマとしてはSurface Pressureに似てるけどもっと前向きな気持ちで「もし完璧じゃない生き方を選べたら?完璧じゃなくても私は私!」とのびやかに歌ってくれて、もうこっちも最高の一曲!私は大号泣しました。笑

オレンジイズニューブラックでおしゃまなラテン系囚人をやってた女優さんがイサベラ声優と知って嬉しかったー!吹替版も、平野綾さんの可愛いお姫様みたいな声がぴったり!!

 

現実世界ではミラベルのように「自分だけ何もできない、役にたてていない」って思ってしまうシチュエーションの方が多いし、実際会社勤めしてると「生きてるだけで価値がある、あなたはあなたであるだけで素晴らしい人間!」とはいかないよな〜って思うので、ミラベルの孤独や焦燥感には胸が痛くなる。イサベラやルイーサのように「完璧な私でなくても私は私!」って言ってそれが素晴らしいことに聞こえるのは、その人がほぼ完璧な人だからであって、実力不足の人が「完璧じゃないけど私は私!」って言っても意味はないのがつらいところ。アメリカ人って「あなたはあなたであるだけでスペシャルな存在」とか言われて自己肯定感高く育てられるイメージだけど、やっぱりそれって建前だよな〜ってみんな思ってるのだろうか。

 

そして私が大好きな『We Don't Talk About Bruno』


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私は、ミュージカルの登場人物がたくさん出てきて一気に状況説明してくれる楽曲が本当に好きなのでとても刺さった…曲調もいいし歌詞もガチガチに韻踏んでてかっこいい。なんと、吹替歌詞が「ブルーノ」にかけて「聞こえてくるの」「あなたわかるの?」って語尾で踏んでるのだ。すごい!訳詞考えた人のセンスを感じる。

みんないいんだけど、特にドロレスの声質や歌い方が耳に残る感じですき。「ずっと夢見た人は他の人を愛してると声がするの 彼の呟き今聞こえる」の吹替パートが本当に可愛くて好き!ドロレス、終始お目目ぱちくりで本当にキュートなキャラ。この歌詞が終盤の伏線になってるのもいいんだよな〜。

街の人がブルーノに言われてこんなことがおきた!って言ってる内容が軽すぎて(太るだの髪が抜けるだのw)、ブルーノおじさん…悪い人じゃないんじゃね…?って予感させるのもいい。

 

まるまるひとつの楽曲(Dos Oruguitas)を使って明かされるおばあちゃんの過去。故郷を迫害された歴史。愛する人は自分たちを守るために命を落としたこと。幼い三つ子を抱え、一人で本当にどうしたらいいかわからなかったこと。おばあちゃんに与えられた”奇跡”は、「やり直すチャンスを与えられたこと」だったということ……作中、おばあちゃんがあまりひどい人に見えないのはこの曲の見事さだよなあと思います。この1曲で、おばあちゃんがなぜあんなに完璧な家族を維持することに懸命だったのかがわかってしますう。

家族の”奇跡”の行方を握ってるのはミラベルじゃなくておばあちゃんだったんだね。それを導き出したのが、家族で唯一”奇跡”をもたないミラベルだったという物語の帰結は本当に美しいと思いました。


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全然関係ないけど、インザハイツを履修していたおかげで、一族の中でアブエラと呼ばれる人はただ単に血縁状の祖母ってことじゃなく、みんなの精神的支柱、的な意味合いもあるのだろうなと思えたため、それでミラベルにいじわるというより、厳しい人って印象のまま私は見れた。

 

全員歌唱曲でこれも大好きな『All of you』


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ここもドロレスの「あとは私がやるわ」からのパートが耳に残ってすき。作中あんまり3人でいるところが映らないイサベラ・ルイーサ・ミラベルの三姉妹が一緒に色々やってるのが可愛い。てかそもそもブルーノが気まずそうに現れて間髪入れずにぺパとフリエッタが駆け寄ってハグするのがいいんだよ〜!兄弟っていいものだ…

私はこの曲で街の人たちが来てくれるとこでおいおい泣いてしまって…… 完璧な私じゃなくてもいいの?の、大いなるひとつのアンサーですよね。おばあちゃんは完璧な一家じゃないとこのENCANTOから居場所はなくなってしまうと思っていたけど、街の人は力を失ったマドリガル家にも手を貸してくれる。完璧じゃない人間同士だから手を貸しあって生きるのが社会人人生だったりするよね……

 

魅力的なキャラクターと世界観と楽曲で、2時間ずっと幸せな、これぞ!ディズニー!!というものを久々に観させてもらったな〜と思います。カシータ(みんなが住んでる家)、パークでアトラクションになって欲しすぎる… まずはフロートでマドリガル家みんなでわっちゃわっちゃしてるところ見たい!!

もう1回くらい映画館で観たいな〜

 

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*1:インザハイツのサントラを死ぬほど聴いたので