「死」とは何か――生命の最も偉大な謎に迫る特別展 Death: Life's Greatest Mystery

カナダ最大の博物館ことロイヤルオンタリオミュージアムで興味深い特別展をやっていたので見に行ってきました。その名も『Death: Life's Greatest Mystery』

www.rom.on.ca

 

なぜ生き物は死ぬのか。死んだらどうなるのか。死にたくないと願ったらどうなるのか。いつか永遠の命は実現するのか。死は終わりなのか――それとも始まりなのか。

 

Through artifacts, specimens, and immersive media experiences, learn how life and death are part of a universal, continuous, and cyclical process. This thought-provoking exhibition explores cultural and natural responses to life and death and asks big questions including: “What if I don’t want to die?”, “What will happen to my body?” and “What will happen to my ‘self’?”. Experience how life goes on after death—and could not without it.

工芸品、標本、没入型のメディア体験を通して、生と死がいかに普遍的、連続的、循環的なプロセスの一部であるかを学びましょう。この示唆に富む展覧会は、生と死に対する文化的、自然的な反応を探求し、次のような大きな問いを投げかけます: 「死にたくないと思ったらどうなるのか」、「私の身体はどうなるのか」、「私 "自身"はどうなるのか」。体験してみましょう、死後も人生は続くのか――あるいは、死なしに人生はありえないのか。

 

私は1つの事象を異なる学術領域の視点から分析していく、ということがとても好きなので、とてもおもしろい展示でした!*1

死は1つのことばで定義できるものではなく、どの学問の見地に立つかによっても、国や地域差、宗教や文化の差によっても異なるもので、いわば、死は解釈次第であるという考え方は大変おもしろかったです。

 

まず入口に"Death is everywhere(死は至る所にある)"ってパネルがあってもうわくわく(余談だけどカナダでは博物館などの公共施設はすべて英仏併記がち)

いろんな国や時代の死にまつわるあらゆること――お葬式や墓の写真、祭壇、アートやモニュメントから、映画タイタニックのシーンまで!

 

まず、biological(生物学的)に見ると?ってところから始まって、生き物の体は死んだら腐りますねっていうのをざまざまな展示物で説明していた。意外だったのが、日本画『九相図』という絵の展示があったこと。

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野外で朽ち果てる死体のうち、とくに美しい女性の遺体が腐っていく途中経過を九つの絵に分けて描いた仏教絵画「九相図」はご存知でしょうか。

あまりにも悪趣味な「九相図」は、女性の死後まもない頃から始まり、次第に腐敗、獣や鳥に食い荒らされ、最後に残った白骨もしくは埋葬後までの様子が細かく描写されています。

(中略)

仏教が流行した鎌倉時代から江戸時代では、修行僧などの若い男性は九相図を見て自身の色欲と断絶していたのです。あまりにも残酷すぎる絵の内容に、吐き出してしまう僧もいたといいます。

(※ROMに展示されてたのはこのWebサイトの九相図とは違った)

見慣れた日本画のタッチで、驚くほどグロい表現だったので、「いや日本人の私でもここまでのもん見たことないけど!?」ってなった。こんなものが流行ってた時代があったとは…

人間が死に、腐敗していく姿を見つめることも仏教の修行のひとつだったらしい。

 

ほとんどの生物(有機物)は、他の生物に食べられたり、腐って土に還ることで、地球のエコシステムの一部として循環しますねという展示もあった。また、ごく一部の生き物は化石になるがそれにはかなりの条件があるということも書いてあった。

 

次に、spiritual(精神的)に見ると?のセクション。

死んだらあなたの魂はどうなるかという問いについて、「どこかに行く(somewhere else)」「地球上のあらゆるものに宿る(everywhere)」「この世に残る(remein on Earth)」など、これもまた様々な考え方が存在すると提示されていた。たしかに、キリスト教にも仏教にも「天国」「地獄」の概念ってあるし(でもキリスト教を信じてる人の天国と仏教を信じてる人の天国って、違う場所そう)、死後転生してまた別の命として地球上に生まれかわるという考えも聞いたことあるし、宗教上はどの分類になるかわからないけど「亡くなった人はそばであなたを見守ってるよ」という言説もよく聞くよなあ。そのどれも自分として違和感はないけど、改めて分類すると、全然違う解釈なんだなあと思う。何を信じるかは自分次第ということなのかも…

ちなみに、「この世にとどまる」の例として、日本の幽霊が紹介されていた 笑

まあ言われてみれば「どこかに行く」の対義語として「この世にとどまる」があり、その事例は幽霊なんかも…

 

「精神的な死」、お次は、その弔われ方について。

世界中のさまざまな地域で、人が死ぬと弔いが行われてきた。火葬や土葬から、死体を保存(要はミイラ)するところも。あなたの死は、あなたの体が死ぬということだけでなく、あなたの周りの他者にも影響を与えるといったことが書いてあった。それこそ大昔の人骨が残っている土葬の展示から、権力者の死や、国にとっての重大な戦争や事件のあとで、人がでかい建物を作るのは世界共通なんだな~と思わせるパネルも。

インドのタージマハル、エジプトのピラミッド、カナダの無名戦士の墓*2。日本だったら古墳とか、原爆記念館とかもこのジャンルに入りそう。アメリカの911博物館のことなども思い出した。そこに人々がつどい、死に思いを馳せる場所が、人間が社会生活を営むうえで必要なのだろう。全然違う建造物の見た目でも、「弔いの機能を持つ場所」が世界中に、そして長い歴史の中のあらゆる時代に存在するのは興味深い。死があんまり意味をもたない集団とかも探せばあるのかな~。

 

動物の中にも仲間の死を悲しむものがいるというパネルがあった。まだわからないことも多いけれど、死とは家族や仲間が永遠に返事を返してくれないということを動物たちは理解しているのかも、という研究が進んでいるらしい。

 

最後に、これが一番の目玉かな?メキシコの各家庭のオフレンダ(祭壇)を再現したもの。リメンバーミーで見たやつ!ってなった愚かな私をお許しください。

ガイコツとマリーゴールドで彩られたカラフルな祭壇と家族の写真。やっぱこのビビッドな色彩感が、今まで見たどんな”死”を扱った絵や工芸品とも違っていて華やかですごい。と同時に、ここまで見てきて、人の死を扱った催事って本当にその国や民族にとって深い意味を持つものだし、それをなんか「カラフルでかわいい!」みたいな感じでディズニーが映画のモチーフとして利用しちゃったのは、文化の盗用みがあるというか…メキシコ人はあれ、よかったんだろうかと思うなどした。

 

最後に「人はみな死ぬ。死ぬ前にかなえたいことは?」みたいな言葉があって終了。コンパクトだけど色々な視点を与えてくれるおもしろい展示だった。

 

個人的には、死に意味はない…というか、死に意味をもたせてはいけないと思っていて。特に昨今の日本で、自死が強いメッセージをもってしまう事例をいくつも見ているから*3。変わらない体制が、一人の自死によって顧みられ、組織がようやく動く…ということをまのあたりにするたびに、人が一人死ぬ前に変われなかったことがどう考えても問題だし、結果として自死が意味をもってしまったことに憤りを感じる。そんな人柱みたいに人の命のこと思えない。

また、自死に限らずだけど、大切な人を亡くした人がいて、「あなたが生き残ったのはあなたにはまだこの世で果たさなければいけない使命があるからだ」みたいな言説は、映画や漫画などのフィクションの世界ではよく見るけど、現実においてそんなことはないだろうと思うし、言ってはいけないことだとも思っている。

だけどこの展示を見て、「その死をどう解釈するかは自分次第」だと腑に落ちた感じがした。もはや、解釈などしないというのもひとつの解なんだと思う。また、私は個人的には反対だったけど、残された人が生きやすくなるなら「あの人のぶんまで生きよう」とその個人が決意できるならその考え方はその人にとって必要なものといえるのかも。国や文化によってもこれだけ異なる「死」なのだから、個人の数だけ受け止め方が違っても良いのだと思えた。明確なひとつの意味などないから、逆に、自分がどのようにその死と向き合うかも自由。それを肯定する理由が世界中に、歴史上のあらゆるところにある。自分にとってしっくりくる”死”を探るのも人生の営みの一部なのかもなあ。

 

ちなみに、この展示の中にはなかったけど、カナダは安楽死を合法化している国である。生命倫理の視点から読み解いたら、次は何が見えてくるだろう。

 

 

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*1:大学で、『結婚』をテーマに、法学、経済学、ジェンダー学、歴史学文化人類学、福祉社会学、表象文化学などの教授が毎週入れ替わりで担当するっていう授業があって、すごくおもしろい試みだと思ったんだよな

*2:第一次世界大戦中にフランスで亡くなった身元不明のカナダ兵の遺骨を保持している場所。オンタリオ州オタワにある

*3:セクシー田中さんの件と宝塚の件など

「男なんて永遠にマザコン」みたいな言説にぐっとくる

タイトルのとおりですが、男の子がお母さんを大事に思ってる系の話聞くとしみじみしちゃう。こういうことをネットに書こうとすると「子供を愛さない親もいる。俺の母親は毒親でうんぬんかんぬん」とかいう人が出てくるのが容易に想像されますが、そんなことは誰でも知っているので放っといてください!!!!!

私が女きょうだいしかいないからなのか、こういう男性の話を聞くと、ほぇ~…スゴ…となる。女性にはない感覚だと思う。ネットで「男 マザコン」で検索すると、マザコン彼氏or旦那のクソエピソードばっかり出てきてしまうのですが、そうじゃない!!そういうことを話したいんじゃないんだ。

 

「男の子って、みんなお母さんが大好きなんでしょうか。5歳の息子が私のことを好き過ぎます」というド直球な文から始まるこのYahoo知恵袋、短い質問文の中に子育ての今しかないかけがえのない瞬間が満ち満ちにつまってる名文で、いつ読んでもきゅんとくる。

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

このお母さんがふと「今までの人生でこれほど強烈に愛情を向けられたことがあっただろうかと、思わず考えてしまいます。」って思ってるのがなんかいい。息子ちゃんチュチュチュ系*1のお母さんじゃない人がふと綴ってる感じにしみじみ。これ2011年の知恵袋だから、今この方の息子さん、18歳かあ~。どんな青年になってるでしょうね。反抗期とかあったのかな。

 

 

私が、彼が1歳のときから成長を見守っている(怖すぎ)ゆうくん4歳。

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1歳児のときから、とにかくよくしゃべる赤子のゆうくんであったが、他人の子の成長は早い…!!「ねぇパパとゆうくんさぁ~どっちとお散歩に行った方が楽しい?」とママに問いかけるゆうくんからの、中盤のかけあいからオチまで全部秀逸すぎる。大好きすぎてたぶん50回くらい見た(笑)束縛彼氏みたいなこと言ってるのに競う内容お散歩なんかい!wなのまでほんとにかわいい。このコメント欄も、男児育児経験者さんがいろんな角度からしみじみコメントしてるのもいい。

ゆうくん基本的におじいちゃん子な面を見ることが多いから逆にいいんだろうな…(息子が私ラブ系コンテンツばっかりあげてるママは支持されなさそう笑)

 

 

昨年2023年3月25日のマツコ会議ミキティゲスト回で「息子の反抗期」というテーマについて参加者が語ってた時間があって、それほんとにめちゃくちゃよくて、今思い返しても涙でちゃう。

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ミキティの長男が反抗期入ってきてるという話の流れで、マツコさんは反抗期ありましたか?と聞かれたマツコさんの答えが、なんか本当…人生を感じてすごい。

わかってんのよ男って……自分がお母さん大好きだし、お母さん以上に好きな人なんてこの世にいないことはわかってんだけど、自分が大人になって社会の中でカッコつけなきゃいけなかったり、いろんな大人になる場面と遭遇していく中でさ、なんかお母さんって存在がさ、自分が幼いものの象徴のようになってくるんだよね。

でも、ほとんどの反抗期をしている男の子たちが、私はそうであると信じてるんだけど、『うっせぇなクソババア』って言いながら、スゴい傷つきながら言ってんのよ。

もう母他界しちゃったからいないけど、なんか…恥ずかしくて最後まで言えなかったけどさあ、謝りたかったもん……

あの頃ね、思春期の頃に、何回クソババァって言ったろうっていうさ。『お前から生まれるのを俺が選んだわけじゃない』みたいなさ、ことをさ、言っちゃったよね~…

この話もすごい良いんだけどここまで聞いていたプロデューサーの女性が大号泣してて「何泣いてんのよアンタ~~!!!!!笑笑」って突っ込まれてるのがめちゃくちゃよかったwww ちょうど息子さんが11歳で反抗期だったらしい。マツコさんが息子側の視点、ミキティが母親側の視点で話してると思ったら、TVプロデューサーという、タレント側ではない、会社員のワーキングママさんがこの話に心打たれて号泣してるっていうのがなんかこの空間を特別なものにしてると思ったな。芸能人もそうじゃない人も実はみんな同じようなことで悩みながらがんばってるって感じさせてくれる良い回だった。これみんな動画探して観てみてほしい~!

マツコさん、放任主義の家庭で育ったと仰ってるし、わりとさっぱりした親子関係の元育った方の印象だから、そんな方が「お母さん以上に好きな人なんてこの世にいないと男はみんなわかってる」って言いきってたことに、他界したお母さまへの思いを感じてじーん…

 

 

今は亡き『ダウンタウンなう 本音でハシゴ酒』中村俊介ゲスト回。

www.fujitv-view.jp

44歳にしてとんでもない女性観と結婚願望を持つ激ヤバ男中村俊介が終始スベり続けていた回なのだが、この中で彼が、理想の結婚相手の条件の一つとして「普通のお母さんくらい家事ができる」というのをあげる。「”普通のお母さん"って何?絶対自分のお母さんでしょ」「理想の女性の話のときにお母さんってワードを出すの絶対やめたほうがいい」と周囲から総攻撃にあうのだが、彼が自身のことを「マザコンではないです!!」と否定したときに坂上さんと松ちゃんがこんなことを言う。

坂「44歳になってマザコンを否定するって逆にヤバいと思うよ。もう40もすぎたら、『男なんてみんなマザコンだよ』って言えるようになる」

松「それすげえわかる。たぶん俺マザコンだと思うもん」

これなんか、なるほどな~と思ってよく覚えてる。中村氏型のマザコンはイタいんだけど、坂上さんがいうようなマザコン尊い。この違いわかりますよね?

「お母さんに僕を守って(ケアして)ほしい」っていうのは悪のマザコンで、「お母さんは僕が守る」っていうのが善のマザコンだと私は思っています*2

 

 

一時期ヌートバーの記事を読み漁ってたときに、彼が自分を「ママ・ボーイ」って呼んでたことを知る。

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「自分はママっ子だから」。ヌートバー選手は常にこう公言し、母への思いは人一倍強い。侍ジャパン入りが決まった後の取材でも、「母を笑顔にできるチャンスがあるのはクールなこと」。屈託のない表情で語った。

hugkum.sho.jp

WBCの時、日本のメディアにも言っていましたけど、今回はアメリカ中に「ママっ子」だとばれちゃいましたね。まあ、友達もみんなラーズはママっ子だっていうのは知ってるし、ガールフレンドも「ラーズはママっ子で、クミが一番だからしょうがない」って認めるんですよ。だからしょうがないんですけどね(笑)。今でも、遠征先で撮った写真をいつも送ってくれます。

かわいいエピソードだな~と思うのだけど、ガールフレンドにこう言わせるのは、ガールフレンドのことをめちゃくちゃ大事にしているからだろうと思われる。じゃなきゃこんなこと言えない!

悪のマザコンは妻or彼女<お母さんになってしまうが、善のマザコンは、お母さんにちゃんと育てられたから、だからこそ自分のパートナーを大切にできるという説が私の中である。

余談だが最近男児を産んだ友人が「ヌートバーのお母さんみたいな母親になれるようにがんばる」って言ってたの、文脈謎すぎるけどたしかにすぎて笑った。

 

 

アメリカ育ちつながりで…英語学習者なら一度は見たことがあるであろうニック。

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アメリカ人の男はみんなママ大好きだから俺がマザコンというわけではない!というニックの主張。笑 けどなんかカナダにきて男の子と話してるときに、ママと喧嘩したみたいなエピソードのときも「I love my mom for sure, but...(もちろんママのことはは愛してるけどさ…)」みたいな前置きを使うのを見てると、文化の差やな~と思う。学校に通ってたときチェコ人の男の子も毎日ママと電話してたな。私留学中に親と電話したの2回しかないって言ったらドン引きされた。笑

 

ちょっと話それるけど、欧米の男性のほうがママへの愛をストレートに伝えているのかなと思っていろいろ調べてた時期に読んだ、ヤマザキマリさんのエッセイ。イタリア人のマザコンは日本の比ではないという強烈な話。笑

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英語だと"マザコンはmotherfucker"で、"お母さんっ子"はmama boyなのかな?

 

 

アメトーークに『お母さん大好き芸人』という企画があり、2010年回を観たの覚えてる。そのとき、まだ20代だったオリラジの藤森くんが爽やかに「お母さんと仲いい」と言っていたのが印象的だったのだが、今も仲いいみたいで推せる。なんか、今も普通に地元も友達と遊んだりお母さんとお出かけしたりしてる、めっちゃいい奴~😊感が、いい。笑

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この投稿の何が好きかというと、「高齢になった親が補聴器を嫌がってたけど、子供が無理にでも買ってあげたら、親も結局喜んでいた!」という、マジで誰にでも起こりうる話を芸能人の慎吾がわざわざインスタで書いているところ。補聴器と、免許返納って、各家庭でもめるあるあるだと思ってさ…私の祖父も補聴器に抵抗あってすったもんだあったけど、可愛がってる孫(私のいとこの兄ちゃん)が説得したら、買ってくれて、しかもつけてみたら喜んで、親世代一同胸をなでおろすという事件があったので、この投稿みたときにめちゃほっこりしたのであった。笑

「親が老いる」って誰にでもおこることだから、こういうことをセレブリティが語ってるのすごくいいことだと思う。

 

2019年版『お母さん大好き芸人』では、霜降り明星粗品が出てて、お母さんからの手紙が紹介されるコーナーがあり、その内容がとても素敵だった。

お父さんが亡くなった時、『俺が母ちゃんを守るから』と言ってくれた。大学を中退した時に『必ず結果を出すから』と言って夜遅くまでネタを作っていたのを覚えています。今まで息子を信じてきて良かったと思います。お父さんに今の直人を見せたかった

粗品が高校生のときに父親を亡くしていることは結構有名であると思うのですが、とおちゃんに対してもかあちゃんに対してもきちんと親孝行しようと思ってそれを20代から実践しているの偉すぎ。ギャンブル狂であることと親思いであることを両立させている粗品の清濁併せ呑む感じほんとカッコいいなと思います。

余談だけどこの回でかまいたちの濱家さんが、今の嫁さんが彼女だった頃に「オカン以上に好きを超える女の人なんて出てけーへんやろ!」と言いむちゃくちゃキレられたというすごいエピソードを披露していたのだが、それに対する礼二さんの「半々でもアカン。全部嫁って言わんと」と言っていたのが印象的で、礼二さんカッコいいな~と思った 笑

 

 

名文すぎてたぶん読んだことある人も多いであろう、ノムさんが亡き妻サッチーに寄せた文。

gendai.media

とにかく本当にサッチーのことが大好きだったんだなと伝わってくるすばらしい文章で、何度も読み返した。あんな破天荒な女性を愛せたノムさんの器がすごいという話でもある。経歴全部ウソだったとかほんま規格外すぎwww

この中でノムさんがご自身のお母さんについて言及している部分がある。

自分の死にくわえて、もうひとつ頭をよぎるようになったこと。それは、ちょうど50年前に他界したおふくろのことだ。

父は私が3歳のときに亡くなり、看護師だった母は女手一つで私を育ててくれた。

体が弱くて、大病を患いながらも、黙々と働き続けた。それでも、家計はちっとも楽にならない。本当に貧しかった。

おふくろは、苦労するためだけにこの世に生を受け、死んでいったような人だった。

時折、おふくろの葬儀の日のことを回想する。

棺の中に目をやる。やせ細った体を見たとたん、

「おふくろよ、人生、幸せだったのか」と思わず声が出て、めったに流さない涙がとめどなくあふれた。

「おふくろ、ありがとな」と、もっと言ってやればよかった。好きなものをもっと食べさせてやればよかった。もっと、もっと……。男は死ぬまで母を忘れないとどこかで読んだが、どうやらそれは本当のことらしい。

これをきっかけに、ノムさんのお母さんってどんな方だったんだろうと思って、色々記事を読んだ。

www.dailyshincho.jp

〈母・ふみは、64歳で他界。仕送りを続ける私に、かつて、こう言ってくれたのを覚えている。

「お前がいくら仕送りをくれても、一番最初に送ってくれた1000円に勝る大金はないよ」

 母の晩年、気づいた。私が送った仕送りは、全て使わず、貯金してあった。私がいつか金に困った時のために、と言っていた。〉

 意外なことに、現役時代の野村氏はリーグ優勝・日本一の場面で泣いたことはないという。人生でただ一度、号泣したのは、ふみさんの葬儀の時だった。荼毘に付される直前、「おっかあ、苦労ばかりの人生だったんじゃないのか?」と言いながら、心の底から号泣したという。

立派なお母さんすぎる…はあ~~。ため息でちゃう。

なんかやっぱ、昔の人ってすごいなと思う。覚悟が違うよ。贅沢しない道を自分で選べるって本当にすごいことだ。同時に、貧困と病気に苦しむお母さんに早く楽をさせたい一心でプロ野球界で上り詰めたノムさんもすごい。

ノムさんとサッチーって顔似てるよなあと思うんだけど、そもそもノムさんのお母さんとサッチーがどこか重なるところあったんだろうな。

 

 

君たちはどう生きるか』を見て、この映画が何を伝えようとしているのかを私は完全に読み解くことはできず、むしろそれでいいと思ってるんだけど(駿の溢れるイマジネーションの世界に浸ることがこの映画における映画体験だと思ったからです)、ひとつだけ、「お母さんに会いたい」っていう、過去のジブリ作品でも見られたようなモチーフが今回もあるように感じた。

ジブリ公式が金ローでハウルをやってたときに鈴木Pが質問にこたえるという企画をやってたのだけど…なんと当時のツイートはもう消されている!!

スタジオジブリ STUDIO GHIBLI on Twitter: "Q: 宮崎駿監督の作品に出てくる女性はいつも前向きに生きているなと自分の中で感じているのですが、監督自身も前向きな女性がタイプなんでしょうか? 鈴木:宮さんはマゾコンです。彼の作品に出てくる女性はみんな若き日の宮さんのお母さんです。"

大学生のとき、ジブリに出てくる女性は”聖母"か"娼婦"のどちらかでしかなく…みたいな卒論書いてる先輩がいて、そのときはそれもそうかもと思ってたんだけど、今思うのは、宮崎駿は男にも萌えてるというか、描写が一方的でないと感じる。すべてのキャラクターに気高さを求めてるし、人間に対する理想が高いし、根底のところで、人間を信じてるんだと思う。駿、永遠に生きて、また映画たくさん作っておくれ……

 

 

なんで急にこんな話をしだしたのかというと、最近このYoutubeを見たからである。

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「死刑囚の息子」として活動をしている二人の男性の対談で、私は彼らが出てるYoutubeなどを結構見ている。殺人事件の加害者の子供がどういった差別にさらされるかというのを語る彼らの半生に、とてもじゃないけど私が何かコメントすることすら許される気がしないのだが、二人が「今面会をしているか」「死刑が執行されたときの準備をしているか」「骨は受け取りにいくつもりか」ということを話したりしていて、本当に特殊な立場の人同士でしか共有できないことだと思った。その中で林さんが、逮捕されたのが父親だったらだったら今この活動はしてないかも…と心情を吐露する場面(47:44~)の言葉が、いたましくて、この動画を見たあとずっとこのことについて考えている。この気持ちを否定できる人がこの世にいるのだろうかと考える。

 

 

以上、私の中で特に印象に残っているエピソードピックアップ回でした。この人とお母さんのエピソード熱いよ!みたいなのあったら教えてください。それではまた。

 

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*1:何それ

*2:吸血鬼すぐ死ぬの公式マザコンキャラ・桃ちゃんが魅力的なのは後者のマザコンだからです

【アラサー】30歳前後で人間関係リセットした?あのときのサイアクな気持ちを振り返ってみよう!

最近けみおくん(28)がpodcastで”人間関係リセット症候群”について語ってたというこちらのポストを見て、気になってその回を聞いてみた。Youtubeでも同じテーマをあげてて、どっちも聞いてみたけど大筋は同じ話で、podcastが要点まとまってて、Youtubeは付随するわりと広めなエピソードまで語ってた感じ。

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要点はこんな感じで、

  • 黙って違う場所に引っ越す、黙ってSNSのアカウントを消したり移行したりすることを”人間関係リセット症候群”といって、経験したこと(自分がした/相手にされた)がある人が8~9割
  • インスタフォロワーが100万人以上いるけみおすら、「インスタって、本当に毒々しい場所で、今すぐ消したいって本当はみんな思ってますよね?投稿した瞬間になぜか、消したくなる」。なぜならSNSのフォロワーは”ゴーストフォロワー”と呼ばれるもので、誰が見たというのは表示されるのに、アクションが送られてくることはほとんどない。人間は投稿したら、反応が気になってしまう生き物。どう思われただろうかとマイナスに考えてしまうようになっている
  • 裏アカを作ったり、ストーリーズの公開範囲を”友達だけ”にすることもできるけど、じゃあその公開範囲を誰までいれるかとか、自分がその範囲に入ってない、はずされたみたいな問題も出てくる
  • 人間関係は変わっていくもの。自分の人生においての登場人物は常に変わっていく。必ずしもネガティブなことだと思わない
  • 年を重ねれば重ねるほどみんな人生の優先順位が明確になってくる。また、経験を重ねると守りたいものがでてきたりするから、新たな出会いがあっても、いきなり親友になれた学生時代や20代前半とは違う
  • 20代前半のときはいろんなジャンルの友達がたくさんいた。いま28歳になって、気づいたら同じ方向に向かってる友達が増えてきた。私で言ったら、目標をもってて、夢がある友達が多い。友達を見て、私もちゃんとしなきゃと思ったりする
  • マイルズ(みんなご存じけみおくんの元ルームメイト)を見てると、すごい大人になっていってると感じる。出会って8年。出会った頃と比べるとちゃんと自分の人生の段階を登っているというか、「昔はこういう遊びをしてたけど今は違う、今はこういうこと」っていう、人生における自分で開けた扉を、自分で閉めるっていうことができる人。人間関係に依存したり、それをずっと続けるっていうことがない。「楽しかったよねあのときは。でも今は」ってことがちゃんとできるタイプ。そういうのを見てると尊敬するし、比べるじゃないけど、ああ自分もできるのかな、ちゃんと大人にならなきゃいけないな、成長しなきゃ、成長できてないのかなって思って怖くなる時もある。
  • 27歳くらいからが、20代を閉じる作業。私の中で。「あー、あのとき楽しいことあったよなー」…で、終わるっていう。「あー楽しい、続けたい」じゃなくて「次に行かなきゃ。次の自分に会いにいかなきゃ」って感じ。その作業をこの3年でしてるって感じ。

 

特に後半の話がおもしろいなーと思って聞いていた。27歳でこの考えに至れるのすごくないかと思う。10代からインフルエンサーやってたから変化の速度も早いのかな…。そして、今の世の中ってどっちかっていうと「自分の好きや楽しいに正直でいることはいいこと!」「年齢なんて関係ない!自分の好きをつらぬこう!」的な言説の方がよく見る気がするので(否定されにくい考えだからでしょうか)、そんな中、「ずっと楽しいだけではダメ、人生のステップを自分で意識して進まないといけない」ってはっきり言える20代の人はすごいなと思った。

ふんふん聞いてたけど、そういえば私も28歳のときになんかもう色々と人間関係および自分のいる環境に限界を感じ、そうして今海外にいるので、今思えば、この症候群だったのかもしれない(もちろんそれだけが原因ではないけど)

 

これを聞いてから当時のイヤ~な気持ちを思い出してしまった。周りの女たちが急に敵になる(?)みたいなことが3か月連続でおきたときに私は生まれて初めて「女友達 いらない」Google検索したことを覚えている。女は28歳になると頭おかしくなるのか?と思った。

hontonokoto.hatenablog.com

検索でhitしたこの記事読んでめっちゃうなずいたな~、今見たら後半は非公開になっていた。よっぽど検索流入が多い記事なのだろう… 冒頭のこの言葉、いま読んでもなるほどな~と思う。

 

10代までの友達って自分のスペックそのものだった。
友達が自分の価値そのものだったから、ある意味、親よりも大事な存在だった。
20代になると、友達は会社で押し殺している本当の自分を証明するものであり、友達と過ごす時間はライフワークのようになっていた。
30代になると、女友達という存在は一変する。
既婚組は雲の上の上空から見下すように接してくるし、独身組は足を引っ張り合う地獄の餓鬼のごとく変貌を遂げる。

 

私は大学が女子大だったこともあり、人生の大半を女友達と過ごし、共有してきたタイプだ。どんなこともまず女友達と話して、共有して、相談する。男友達もいるけど、人生を共有する対象として思ったことなかった。Sex and the Cityみたいな、「男は人生のスパイスとして必要だけど、女友達は永遠」みたいな世界観が好きで憧れてたし、恋愛や性愛よりもシスターフッドで繋がれるほうが強い絆的な価値観がけっこうあった…気がする。

なので28歳で生まれて初めて「もしかして女友達って…いらない…?」と自分で思ったときは衝撃だった。それって、今いる女友達が不要というよりは、「それまでの自分の人生が全部、今ここから継続する意味なくなる」っていうことを意味していて、え!!!マジ!?!?!となった。人間には現状維持バイアスがあるし、はいそうですかとはなりにくい。

それでも、「今まで誰にも迷惑かけず、他人に優しくをモットーに生きてきたのに、こんなことある?????」レベルのことが立て続けにおき、気持ちがガラリと変わるのも一瞬だった。なんか、脳に風が吹いた気がしたこと覚えてるもん。その直後の会社の飲み会で「最近周りの人間が全員やばくて、離れたいけど、でも別に家族と仲いいわけでもなけりゃ彼氏もいないし、友達いなくなったら本当に1人になりそうで不安…」と相談したら、諸先輩方から一言目に「逆にもう一旦全員捨てな。本当に大事な人はそのあとも連絡できる。それに趣味がある人は大人になってからも友達作れるから大丈夫」という力強いお言葉をいただき、マジで決意が固まったのであった。

 

当時私は、別にシングルでも私は私で楽しくやってるし、仕事もまあ大変だけどがんばってるよなという自認でいたのだけど、結構、自分が本当に思っていることではなく相手の望んでいるであろうことをしゃべるという癖があり(これは今もある)、相手に合わせて会話を展開していた。例えば…なんだろう、定職につかずよくわからない会社に短期間で転職を繰り返してる友達に対して「自分でちゃんと見切りつけて次のステップに進もうと思えてすごいね、私なんだかんだ不満言いながらもなんだかんだ今の会社長くいすぎちゃってるからなあ」って言うみたいな…。でもなんか、私は相手に親切にしてあげようとか、客観的に見たら私のほうが上かもしんない(業界内ランクの高い会社に長く勤めている)ことで相手に気を遣わせないようにしようの気持ちで、多少自分の生活や気持ちを犠牲にしてあげていたつもりだけど、そのぶん自分が他人から優しくされるということは特になくて、むしろ恩を仇で返される展開が、前よりもかなり増えた。さっきの例でいくと、「そうだよ、いつまでそんな泥船の会社にいるつもり?全然仕事もうまくいってなさそうだし。私を見習ったら?」って返されるみたいな。こっちは非正規雇用のお前を気遣って自虐してあげたつもりだったのになんじゃそれみたいな……。でも、人間の印象ってその人の口から出た言葉でほぼ決まっちゃってるんだなということもそれらの経験を通してわかったし、謙虚でユーモアのある人でいたかったけど、相手にマウントさせないためには、武装したり、自分に自信があるように見せたりすることも人生には必要なんだと思ったのであった。悲しいよね。他人に弱みは見せてはいけないということもそこで学んだかな。

27歳の1年の抱負は「人に優しく」だったのに、28歳の1年の抱負は「自分の人生に集中」となった。180度転換すぎやろ。

 

また、そういうのでいちいちオロオロしてしまっていたのは、他人の反応を過度に気にしてしまっていたからで、それって自分の感情や時間を他人のために使ってるということに他ならない。自分が本当に大切にしたいものがわかっていたら、そういうことにリソースをさかずにすむし無駄な寄り道をする必要がなくなると思った。そこで、コロナ禍でぼんやりと考えていた「留学してみたい」を、実際に行動に移そうと思って、エージェントにアポをとったのであった。

そのとき見ていたドラマ「オレンジイズニューブラック」の中で、「他人のことばかり気にかけていたら他人の尻をぬぐってる間に人生終わるわよ」みたいな台詞が出てきて、私に言われたのか!?と思うほど胸に刺さりました。今も時々思い出す言葉。

当時の私はクライアントワークをしていたので、1日10時間以上は要は他人の仕事ために働いており、さらにプライベートでも他人の気持ちを慮って優先していたら、マジで私の人生全部他人のために使うことになっちゃうじゃんという気づきもあった。

 

「類は友を呼ぶ」とか「環境が人を作る」みたいな言葉は結構当たってると思ってて、そのぶん、自分がいる環境の停滞感、閉塞感が苦しかった。何か変えなきゃ、進まなきゃって思って、そうするには、「それまでの人間関係を切る」「目標を決め、そのために自分の時間を使う」と決めるのが一番だった。誘われたらなんとなく行っていたような飲み会も断るようになり、留学のための勉強をするようになった。

 

私の個人的な考えだけど、人間が何か変えたいと思ったときに実は一番簡単なのが「友達の整理」、次に「住む場所の変更」なのではないかと思う。だいぶ離れて次が「転職」、そのあとが「結婚/出産」。私がこう思うのは、変化するのに他人の関与(協力)が必要な順である。アラサーの、特に女性は、友達との距離感を一番感じる出来事が結婚まわりだと思うのだが、いくら結婚したいと思ったからってじゃあ明日しようとはいかない。その分、「インスタを消す」なら、今この瞬間に自分の力だけでできる。できるのに、強力なパワーを持つ。だから人は人間関係をリセットしたくなるんじゃないだろうか。断捨離と一緒ですよね。された側からしたらたまったもんじゃないけど、でも、そういうのが必要な瞬間って、来る人には来るんだと思う。

 

当時、仕事の人間関係もプライベートの人間関係もかなりtoxicだったと思うし、会社をやめて海外に引っ越したくらいじゃこんなtoxicな関係はすっぱり消えるということもなかったけど、でも、しないよりはして確実によかったと思うし、さすがに日数も経って、薄らいでいったし、私も忘れていった。このまま忘れとけばよかったのに、なんか書いてしまった。もっと詳細を書こうと思えばいくらでも書けるけど、書くことで思い出したくないし何より残したくない。そもそも過去を捨てるって話じゃないんかい。時間が経ったらこの記事も消すかも。

 

日本に帰国する時が近づいてて、そのとき、昔と同じコミュニティにそのまま戻りたくないなーと思う。変わりたくて行動したのに、元の自分に戻ってしまうのが嫌だからだ。でもつい、前のままの自分でいるという楽な道に流れそうになるときもある。そういうときに思い出したいのは、「自分が集中したいことは何?」ということだと思う。まわりにあわせた自分でいようとするのではなく、自分の目標を常に見つめて、それに向かって進める自分でありたい。

 

私今まで、guilty pleasureは何かと聞かれたら、チーズと卵を入れた辛いラーメンを食べながらドラマを観ることと言ってたけど、ある意味人間関係リセットもguilty pleasureの一種なのかもと、ここまで書いて思った。痛いけど気持ちいいよね。気持ちいいけど痛いしね。

 

みなさんはアラサーのときに人間関係って整理しましたか?よかったら教えてくださいませ。それではまた。

 

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死ぬときにベッドの上で「この3つを叶えた」と言いたいこと

例によって、山ほどブログに書きたいことはあるのですが時間も労力もない。海外生活も徐々に終わりが見えてきつつあり、今ここで経験したことや思ったことは書き残しておきたいので、隙を見てはバンバン投稿していきたいと思っています。がんばれ私。

 

ところで先週日曜の日記です。友人と晩ごはんを食べたあとの夜カフェで会話していたときに、「実はカンバセーションカードっていうの持ってきてるんだけど一緒にやってみない?」と言われたのでした。

 

カンバセーションカードとは?

The Conversation Cards: First Edition

The Conversation Cards: First Editionthediary.com

カードに質問が書いてあり、それを友人やパートナー、はたまた知らない人とのパーティーなどで会話のきっかけにするアイテム。いろんな会社から出ているのだと思いますが、私の友人が持ってきていたのはポッドキャストの人気番組The Diary Of A CEOから派生したプロダクトで、この番組でトークテーマとしてあげられた質問が各カードに書いてあるというもの。これを周りの人との雑談のきっかけとして使い、自分や相手についてより深く知っていきましょうという、ある種、インタラクティブジャーナリングができるアイテム。自分のことについて深く考える機会にもなるし、相手と心を開いた深い会話をすることで、より関係性が深まることにも寄与する。

 

SpotifyYoutubeに番組がある。キャリア、お金、人間関係、メンタルヘルス、恋愛とセックス、マインドセット、運動と健康などなど、トークテーマも多岐にわたります。

open.spotify.com

www.youtube.com

 

残念ながら日本のAmazonでは売ってないようなのだけど、Youtube開封動画をあげてる人もいるし、どんな質問があるかは結構見れる。たとえば、

  • 一番最近「時間があっという間にすぎた」と思ったのはいつ?それは何をしていたとき?
  • 過去に誰かに「言わなかったこと」で後悔していることは何?それはなぜ言えなかった?
  • 人生の中で「この人に出会わなかったら今の自分にはなってない」と思う人は誰?それはなぜ?
  • 今まで誰にも言ったことのない話を今ここでひとつ話すとしたら?
  • 若い時のあなたは今のあなたを誇りに思うと思うか?
  • 人生の中で一番人から「○○についてアドバイスをちょうだい」と言われたことは何?
  • どんな苦痛を楽しむことが好き?
  • あなたが今まで最もごめんなさいと言いたかったけど言えなかった経験は?
  • 去年の内のどこか1日に戻れるとしたらいつ?何をする?
  • あなたが今まったく取り掛かっていないけど、やりたいと思っていることは?
  • 多くの人が重要視しているけど、自分は価値を感じないことは?

 

などなど。一見するとよくある自己啓発本っぽい内容に見えるんだけど、きちんと胸の内を話せる友達と対面でカードをめくりながらじっくり考えて意見を言うとなると、やっぱり模範解答というよりかは個人的な話になってきて、意外なほどおもしろかった。

 

その中で、けっこう印象的な質問があった。

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”もし今死ぬときのベッドの上にいるとして、あなたが人生の中で「達成した」と思いたい3つのことは何?それを叶えるために今から毎週できることは?”

 

ふーむ、普通に考えたことなかった。起業家の人とかこんなこと毎日自問自答しとんかな。特に今、目の前のことで精いっぱいというか、今しかできないことをしようのフェーズにいるので、こういう、先のことについてあんま考えてなかったなと思った。そして、「そのために今から毎週できることは?」ってとこまで考えさせてくれるの、良い質問だなと思う。

 

私の口からでてきたのは以下の3つだった。

  • 英語ぺらぺらになること。

やはり現在の目下の目標ということもあるし、この言語がわかることで見えるであろう違う景色が見たい、その状態で生きてみたいという気持ちがある。そのために毎週できることは、シンプルに、毎週ちゃんと勉強すること。

 

  • 金持ちになること。

20代は金を稼ぐどころか、生きるか死ぬかみたいなラインにいたので全然目を向けてこられなかったのだが、私はもっとちゃんと金が欲しいし、正当に評価される場所に身を置きたい気持ちがある。そのために毎週できることは、常にベターな機会を探しつづけ、見逃さないこと。スキルアップを怠らないこと。また30代からは、単に稼ぐというだけでなく、増やすこと(株などの投資)についても実践していきたいと思っており、このあたりの知識をつけたい。

 

  • 自分のオーディエンスを獲得すること。

これは自分でもどう言語化していいのかわからない気持ちだったのだが、インフルエンサーになってフォロワーをたくさん獲得したいということではないと思うのだけど、自分の話をもっと多くの人に聞いてほしいという気持ちが自分の中にある。最近、もっと自分の思っていることや考えていることを形にしたい、表現したいという気持ちが高まっており、どういう方法でやっていくべきなのかあれこれ思案をめぐらせているのだが、ただ表現したいんではなく、そこに共感してくれる人に聞いてほしいなと思う。それを聞いて友人が「自分のオーディエンスがほしいってこと?」と言ってくれたので、そういうことになった。このブログも、もっと読んでもらいたいしできれば共感や反応がほしいと思いながら書いてるんだよね~、たまにコメントくれる人ありがとう。そのために毎週できることは、コンスタントにコンテンツを作って世の中に発信していくこと。

 

「3つか~」と絞って考えてみると、意外と、”自分の家族を持ちたい”がTOP3に入ってこないことに自分でも驚いた。20代後半から結構婚活をしてきたつもりでいるのに、じゃあ何のためにしてたん感がある。自分の心の底からの望みというよりは、今がんばらないと人生の後半で大きなツケを払うことになりそうという恐怖心が原動力だったのかなあ。望みというより、「望まない未来を回避したい」がゆえだったのかも。それもまあ一つの望みでしょうけど。

なお友人はカナダ人であるため「まあ僕は西側の人間だから、一番はまず自分の家族を持つことだね、やっぱり」と言ってて、やっぱそうよな~~と思った。よく欧米の人は「アジアは保守的な国が多くて、伝統的な家族制度を重視している」と言うし、実際その側面はあるんだけど、一方で「パートナーや家族を持つことは当たり前であり、人生で最も大切で幸福なことである」的な価値観の揺るがなさって絶対日本より欧米の方が強いと思う。

ちなみに友人の残り2つの答えは「自分の小説を出版すること」と「生きるための仕事ではなく、情熱を捧げられる仕事をすること」だった。どっちもいいな~~。そのために今できることについてお互いにコメントし合えたのもよかった。

 

他にちょっと話したこと抜粋。

  • 人生の中で一番人から「○○についてアドバイスをちょうだい」と言われたことは何?

これ、意外なほど何も思いつかなくて困った。これの回答が出てこないってつまり、人より秀でてることがないってことなので結構つらい。でもなんかこれって「いつもポジティブでいられる秘訣は?」的な回答を予想してたので、自分には…何も…無い!!と思っていたのだけど、友人が「自分だったら、日本に旅行に行った経験が多いから、交通機関のこととかおすすめの観光地とか聞かれるかな」と答えてて、あーそういうのも確かにあるなと思った。その場では言わなかったけど、そういう系で言うと、私は友人から「ファンデなくなったから新しいの買おうと思ってるんだけど今のおすすめ何?」と聞かれることが多いです。

 

その場で友人にしか打ち明けられなかった回答も多いのだが、でも、セルフヘルプにすごく役立つ内容だったし、夜のカフェで話し込んだという余韻もあって、すごく贅沢な時間だった。

 

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自分が心を開いて話すことができて、かつ、自分をジャッジしない信頼できる相手とするのであったら、きっと有意義な時間になると思います。他の人ともやってみたいな。おもしろい遊びでした。

 

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【変すぎ】2023年に一番聴いた曲BEST10【#SpotifyWrapped】

今年も振り返ろう!SpotifyWrapped!!

Spotify Wrapped 2023 – when will it be released and how can you find it? |  TechRadar

11位 第ゼロ感/10-FEET

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語りたいので今年は11位からお送りします。カナダでTHE FIRST SLUM DUNKがよーーーやく公開されたのが実に7月28日!!公開2日目とかに観たので、もう観客そもそも全員原作ファンやろという布陣で観れてとてもよかった。アジア系の子が多いなって印象でした。アヤちゃんのコスプレしてきてる女の子もいて可愛かった!なんでみんな原作ファンってわかったかというと、例の無音スローモーションのシーンでもう全員"Let's go!!"とか口から出てたからですwww 勝手に応援上映。さすが自由の国。

それにしてもこの第ゼロ感が劇中で流れる「ドリブルがチビの生きる道なんだよ!」のシーンはほんっとに鳥肌ものでした。かっこよすぎる!!!90年代のカッコいいが詰まった世界観なのに、今見ても抜群におもしろくてすごい。多くの人がスポーツ漫画、少年漫画の金字塔として本作を挙げる理由がとてもよくわかりました。流行りのPOPシンガーや令和っぽい歌ではなく、大人のロックバンドを起用するのもすごい判断だと思ったけど、大当たりすぎてまじすげ~。歌詞も「霞んで消えた轍の先へ」「遠い星の少年はその腕に約束の飾り」など、沖縄出身で兄のリストバンドをつけて闘うりょーちんを主役とした本作にベストマッチな歌詞でかっこいい!!

紅白もほんっとにかっこよかった!現実のプロバスケのアンセムとなったのも大納得の一曲。

 

10位 NEW DRAMA PARADISE/福山潤


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2期もおもしろかったよね~吸死~~。3期決まってないゆえか、時系列ごちゃごちゃにしたエピソード選定は謎だったけど(もうとにかく制作委員会の人がやりたいエピソード詰め込んだのかな??)、ライトな気持ちで楽しめました。

1期のOPが歌詞も曲調も世界観ドンピシャすぎたので、もうあれを超えるOPを作ることは不可能だろうと思っていたのですが、これはこれですっごく好きだった。1期OPと比べて、シンヨコのみんなが仲間感出ててよかった!初回でトレンド入りし大騒動になったサテマナまじなんなん事件も良き思い出。毎週新鮮にその距離感に驚いたもんな。一人で踊る御真祖様の切なさも良き良き。

 

9位 オトナブルー/新しい学校のリーダーズ

オトナブルー

オトナブルー

  • provided courtesy of iTunes

まさかこの曲がランクインするとは…。好きな人ごめん!私は彼女たちのことが結構苦手である。この曲を知ったきっかけも本人経由じゃなくてTiktokやIGのリールで誰かが踊ってるやつを観たからだった(今ってそうやって音楽の流行が作られるのが完全に主流だけど、商業音楽じゃなく芸術として音楽を作りたい人にはやりづらそう)。

苦手なのであまり調べたりもしていない、彼女たちをあまり見たくないから…苦手な理由は、「わかってる 欲しいんでしょ?」の振り付けが無理すぎるということ(シンプルに下品というのもあるが、こんな振りを若い女の子にさせるなよの気持ちになってしまう)、女子高生を商品化したものがそもそも苦手なので本人たちの衣裳が学校制服なのがきついということ、「可愛いのに変顔や変な動きをしちゃうアイドル」みたいなのを素直に受け取れない年齢に私がなってきてること、昔ももクロに湧いてた人たちって外野から見たらこう見えてたんだろうか…みたいな共感性羞恥を覚えること、などなどです。

無理な理由がこれだけあるのに、こんなに聴いて彼女たちへの印税に貢献したんかいという話。

 

8位 鎌倉殿の13人 メインテーマ

 

がんばって鎌倉殿を完走したので、余韻にひたってしばらくずっと聴いていた。0:18~あたりの駆けだすようなパーカッションの音がさいこーにドキドキする。

 

7位 My Shot - Musical Hamilton 

My Shot

My Shot

  • リン=マニュエル・ミランダ, アンソニー・ラモス, ダヴィード・ディグス, Okieriete Onaodowan, レスリー・オドム・Jr & Original Broadway Cast of "Hamilton"
  • ミュージカル
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

Disney+でハミルトンを観たので、サントラをずっと聴いていた~。自分自身のことを「この国(アメリカ)と同じ、若くて野心的」と歌う主人公…アメリカ人にしか作れないミュージカルだとつくづく思ったなあ。

 

6位 Naatu Naatu - RRR The movie


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オスカー歌曲賞も獲った見事な中毒曲。ダンス部分、いったいどうやって体を動かしてるんかホンマにわからんすぎ。インドのスター俳優ってお芝居だけじゃなくてダンスもここまでできないといけないのかー!と思った。

ところで私はアカデミー賞授賞式を観てからこの映画を観たので、後々考えると「あのステージパフォーマンスの人ら、誰やったん…!?」てなりました。ここは映画に出てた俳優が踊ることをみんな期待してたのでは!?歌手が別でいるのとかはともかく、真ん中で踊ってた人たちもまさか全然違う人だったとは。色々調整がうまくいかなかったんでしょうか。でもあれってインドの人たちが国の誇りをかけて作った映画が表彰された場面だし、白人ダンサーじゃなくてインド人ダンサーを中心に作るべきステージだったのでは…

 

5位 Don’t Boo!ドンブラザーズ/森崎ウィン


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ドンブラかい。TOP5ランクインです。OPも好きなんだけど、EDってなんか切なくていいのよ~。歌詞の中にメンバーを連想させるワードがちりばめられてて、古き良きキャラソンとしても超いい。

余談ですが、ドンブラに狂っていた友人が「自分の結婚式ではドンブラのOP曲で神輿に乗って入場したいし、ED曲の『どーんとHAPPY END!』で退場したい」と言ってたのだが、それはもはや桃井タロウの結婚式なのではと思った。

 

4位 残響散歌/Aimer


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2022年紅白の演出が超超超よくて、それきっかけに聴きまくってた。宇随さんの特別ボイスサプライズ、あれリアタイで観れた人うらやましい!!!!!

鬼滅は漫画を全部読んだのでアニメはあんまり追ってないんだけど、遊郭編ラスト+刀鍛冶の里編最初をくっつけただけのものが映画館で観れるやつ、劇場で拝見しましたが、まじで見ごたえありすぎてとんでもなかったわよ。あの無残様の3Dモデルの城、どうやって作ったんや。予算が一桁違いそうな本気度で惚れ惚れしました。

 

3位 Satisfied  - Musical Hamilton

Satisfied

Satisfied

  • Original Broadway Cast of "Hamilton" & レネー・エリス・ゴールズベリー
  • ミュージカル
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

ハミルトンで一番好きな曲!初見のとき爆泣きした。鎌倉殿完走した時期と同時期だったので余計に思ったことなんだけど、私は私自身が長女であるためか、長女の使命感を持っているフィクションのキャラクターに大変感情移入してしまうということに気づいたのだった(鎌倉殿の政子ちゃんもTHE お姉ちゃんで大好きだった)。

 

アンジェリカ、イライザ、ハミルトンの関係性つくづくとんでもねえけど、昔の人がこういう覚悟をもって家のために結婚相手を選んでいたのしびれちゃう。*1

オリキャスの女優さんが歌が上手すぎ。この曲ミュージカル曲なんだけど、マジ超早口ラップナンバーでもあり、超難易度高いと思う。未だに何言ってるかよく聞き取れません。でもこの曲のおかげで"by all means(ぜひ)"というイディオムが頭に入った。

 

私がカナダという移民大国に住みながら感じる、多様性社会の豊かさと厳しさ、それでも国家として「多様性が我々の力だ」と言い続ける覚悟みたいなもの、リン・マニュエル=ミランダの作品を通して感覚的に理解しているかもしれない。

ちなみにカナダ人の友人たちに言わせてみると、「実はカナダの”国としての誇り”は、多様性とかではなく、私たちはアメリカではないってことなんだけどね(笑)」と大体の人が仰るので、アメリカを通してカナダを理解した気になってる私は愚か者という見方もありますね。

 

2位 アイドル/YOASOBI


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多くは語るまい。2023年を代表する最高の一曲!!推しの子というアニメのプレゼンスを最高潮まで引き上げたとんでもない曲だと思います。そして今のアイドルシーンにもドンピシャで、2023年の紅白演出は伝説として語り継がれるであろう。圧巻でした。

ジャニーズの子たち、出してあげたかったな。本人たちが一番出たかったに決まってる。あの中で踊るSexy Zoneのケンティーを見たかったなあ。*2ジャニー、ゆるさん。

なんかタイアップ曲といえば米津玄師って感じだけど、YOASOBIも超上手いんだなと思った1年だった。今の2強なのかも。

 

1位 すずめ/RADWIMPS, 十明


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今年アイドルよりも聴いた曲、それはすずめでした。自覚あり。

もーね、主題歌として強すぎて涙涙よ。こんなに新海誠の思想が嫌いなのに、この映画も冒頭2/3は新海誠やっぱ無理すぎ……きしょ……と思いすぎてかなりしんどかったのに、*3終盤の展開とこのエンドソングが強すぎてやられた!!!!!

実は映画を観るより前に、Tiktokで日本の観光地(特に寺社仏閣系)を紹介するTiktokやIGリールのBGMとしてよく使われていて、それで知った。透き通った声、不思議な世界観、美しく切ない旋律がほんっとに独特なのだよね。映画すずめの戸締まりも、日本の神仏や土地にまつわる伝承なんかをモチーフにしている結構スピリチュアルな世界観なので、そういうリールと相性がよかったんだろうな。

一言一言、全部の歌詞がすてきですが、「なんで泣いてるのと聞かれ答えれる涙なんかじゃ僕ら出会えたことの意味にはまるで追いつかない この身ひとつじゃ足りない叫び」「愚かさでいい 醜さでいい 正しさのその先で君の手を取りたい」については、何をどうやったらこんな美しい日本語が紡げるのかと思う。もう映画観た後しばらくしてからも、サントラ聴くだけで泣いてた。

 

ちなみにこの曲を聴きまくってた時期に「これ…実質土井先生ときり丸のイメソンじゃない…?????」と思い、愕然としたのだが、私と同じことを言っている人が一人も見つからなかった。なんで!?

すずめの戸締まりがツインレイの話みたいなとこあるからなあ。

 

 

 

以上です。音楽のBEST10なのに、実質今年観た映画やアニメの総括みたいな内容となりましたね。好きな映画の主題歌とか延々聞いて余韻に浸るタイプ。

TOP10入りはしなかったが、紹介したい曲のコーナー。

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素晴らしすぎるSexy Zoneの新曲でございましてよ!!も~、セクゾってほんとに全員キラキラしててすんばらしい。華がある。K-POPの真似ではない、J-POPのど真ん中なかっこよさなところがいい~。ふうまくんとケンティーはメンカラ衣装なのに、勝利くんと聡ちゃんのお衣装がメンカラ逆なのにはどのような意味が…?けど、メンカラにとらわれない衣装を着てるのを見るのもいいもんだよね。

「どんな不条理だって時代のせいにすんな 自分で答えを選べ」って歌詞、仕事の場を奪われているジャニーズ所属タレントとしても色々思うところがあったのではないかな。それでも、ソロ仕事が多く一人一人が意思を持って仕事をしている印象のSexyZoneだからこそ説得力があるし、この歌詞を書いてもらえてよかったねと思えるなあ~。

などと思っていたら、年明けのケンティーの決意表明に驚きすぎて、1日くらい感情失いました。後述。

 


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WISHで一番好きだった曲。というか、ストーリーはかなりシンプルで子供向けだな~と思いながら観ていたのだけど、このシーンがすごすぎてボロ泣きした。冷静に考えると「どういうことやねーん!笑」というシーンなのだが、1曲で大きく展開を覆していいのはミュージカル楽曲だからこそのなせる業で、理屈はともかく本当に心を動かされました。ミュージカルのリプライズ曲って大体アツい。

よく考えたらWISHって王様vs民衆の話みたいなとこあるし、フランス革命みたいなもん。つまり、1789といえる*4

 

 

 

最後に、2023年のエンタメ総括としてこれは書いておいた方がよいかもしれない。

私はなにかひとつを懸命に推し続けてきたタイプではないが、ジャニーズ、宝塚、2.5次元、お笑い、二次創作界隈など、いわゆる日本のエンタメとして強固なファンダムを持つ界隈を結構のぞいてきた方かもしれない。2023年特に一番大きな事件はやはりジャニーズのスキャンダルと宝塚の悲しい事件のことだったと思う。お笑いに関しても、業界トップのレジェンド芸人に関するスキャンダル記事が出たばかりである。そういえば歌舞伎界にも今年大きなスキャンダルがあった。

ジャニーズに関しては、自分の中でもかなり揺れがあった。アイドルファンとしての私は、ジャニーズ事務所にしかできないプロデュースの力を知っていたし、ジャニーズ出身アイドルでさえこの事務所を出たらなぜか輝きが急激に減る事例をいくつも知っていたので、だからこそこの事務所がなくなってしまったら多くのものが損なわれてしまうのではないかというのが、初期の頃の私の懸念…というか、喪失感?だった。「タレントに罪はない」といって応援し続ける友人の話を聞いたときはまあそうだよなと思ったし、一方で、尊敬する先輩が「被害者の話を聞くと、もうかわいそうで見ていられない。平然とテレビに出続けているタレントも、起用しているTVも本当に信じられない気持ちになる」と言っているのを聞いたときは、変わらず好きなアイドルを「かっこいい~、ライブ行きたい~」という気持ちのみで見ていたい私は、その裏にある巨大な犯罪を見て見ぬふりする卑怯者なのではと思った。

識者コメント*5で「本当はタレントは自分たちの芸能活動に支障が出てる時点で、事務所に対して怒っていい立場。なのに、経営陣と本人たちのアイデンティティが絡まりすぎて、『僕たちが頑張ります!涙』みたいになっているの、他の事務所や企業ではありえないこと」というのを聞いて、確かにそうだよなというのが現在の心境。

 

宝塚に関しては、好きだがあまり詳しくないのでさらによくわからないが、ジャニーズと同様、「どういう育成のされ方をしているのかが割と秘匿されていて、その閉塞性がブランド力を高めている」世界だと思っており、その閉ざされた秘密の花園を私たちがきゃいきゃい楽しんでいた裏で、現実を生きる人々が、私たちが実社会でも直面するようなトラブルやハラスメントで苦しんでいたことを直視するのはキツいものがあった。知らなくて済むなら知らないままでいたかったけど、そんなこと言っていられないとこまできてしまってる。

 

巨大なお金が動く場には大きな権力と上下関係があり、個人ではとても抗えないパワーとなって誰かの人生を大きく捻じ曲げてしまう。辛いけど、少なくともこれらのことが明るみになったことはよかったと思う。正常な社会であってほしいから。ジャニーズに関しては、国内メディアがどこもこのことを報じられなかったことは、国家としてかなり危険なことだと思う。

 

というわけで、今後私はこれらのエンタメ産業に、どのくらい傾倒するのか…好きと思うものにお金を払い続けるのか。ずっと悶々と考えていたけど、はっきりとした答えは出なかった。「許せないからもう見ない」と言い切れるほど私は強くなかった。幸か不幸か日本にいないので、物理的に日本のエンタメと距離があり、そもそも金を払えない状況にあったし、精神的にも、もうあんまりオタクじゃなくなってきてる感じだったのもある。*6

そんな中、SexyZoneのケンティー氏卒業(脱退?)が発表され、本当に、こんなにつらいことあっていいのかよレベルで衝撃だった。誰が事務所をやめたときだって驚いたけど、ケンティーだけは本当に特別だった。大谷翔平が野球やめるみたいなもんと言ってる人がいたが、まさにそう。アイドルの擬人化みたいな生き方を歩んできた人だと思うし、一人で舞台に立ってたって完璧で究極のアイドルだったけど、やはりグループの中にいる、風磨くんの隣に立つケンティーは、世界で一番特別なアイドルだった。彼の生き方を尊敬しているので今後も応援はすると思うけど…というのはとりあえずおいておいて、ケンティーがSexyZoneを抜けると聞いて、本当に自分の中でスッと降りてきた感情、それは「もう生身の誰かを好きでいることを自分のアイデンティティにしたらいけない」ということだった。今まで何回もそういうことを思ったタイミングはあったはずだが、今回の件で、実感をもって心からそう思った。結局、生きている人間が作っているコンテンツは、その人にしかコントロールできない。こちら側には何の主導権もない。見せてくれる範囲のものを楽しむのはお金を払って得る権利であり対価だけど、結局どこまで追ってもフィクションだし、自分が手にするものってなんもない。がんばってる人の人生を消費するのって、手軽に喜怒哀楽を味わえるコンテンツなんだよな~、宝塚のトップスター退団公演で自分が泣いてるときなんかから結構思っていた。この人は歌にダンスに芝居にものすごい努力を日々重ねてこの地位にのぼりつめ、多くの責任をまっとうしてこの日を迎えているから涙するのはわかるけど、私べつになんもしてねぇ~~なのになんか感動して泣いちゃってるよ私~~なんでやね~~んみたいな。ほんと、他人の人生に寄り掛かるのって楽ですけど、あんまよくないことだ。自分の人生に熱狂すべきなんだよな。でも自分推すのって楽しくないからつい他人を推してしまうんですよね~。とはいえ、そういううじうじした感情は完全にどっかいった。ケンティー、ある意味ありがとう。私も私の人生を推せるようにがんばるね。

国際問題なのよ。

 

ななめの方向に着地したけど、今はこんな感じの心境です。また色々変わるかも。でもそもそも2021年からオタ卒したいと思ってたし、実際もうそんなにオタクではないので、こんなに長々書くことでもなかったかもしれません。こんなとこまで読んでくれた方はおるのか。もしいたら、ありがとうございます。

 

Spotifyの話はどこにいたんや!て感じですが、終わります。来年も自分のツボにはまる音楽に出会えるといいな~。カナダにいるのに全然洋楽を聴いてないのもどうなんと思うので、来年大きな変化があったりしたらおもしろいな。

 

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*1:アンジェリカとハミルトンの関係性は史実ではなく完全にフィクションではある

*2:推しの子の作者横槍メンゴ先生がケンティーのファンということを知ると余計に

*3:なんで女子高生の家出をあんなに肯定的に描きたいのか

*4:いえるか?

*5:バイリンガルニュースMamiちゃんのコメント

*6:海外暮らしってのもひとつの楽しみだからね~

2023年を爆速で振り返ろう!!今年もよろしくお願いします!!

年明けてもうたやないかーい!

 

2023年の振り返り記事をついに1つも書けなかったが、今から書く。ひらりささんの、月ごとのまとめが面白かったので真似したいと思います。これを書いているのは1月6日だが、後から振り返ったときに見やすいように2023年年末に日付設定してあげます。

 

1月 

しょぼい花火を見て年明け。

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運良くバイトが見つかる。

ホームステイ先で深夜にドライヤーを使ってバチ切れされ、キレられたことよりも「この年で、ドライヤーを使う時間を人に指定される人生とは…」という方向で病み、絶対に早急にホームステイを出ることを決意。

10軒近く内見に行くも、なかなか良い条件の家が見つからず発狂しかける。そんな中、よさげな条件の家が見つかり、ここや!と思ったものの、以前からの知り合いがその家に住んでいるとわかり(在加日本人コミュニティの狭さよ…)かなり悩むが、どうせ1年以内には出ていくし、家賃の安さにはかえられん!と思い、契約。

 

2月

夢のフロリダディズニー!!楽しすぎた。一生忘れん*1。2月のカナダは気温がマイナスだというのに、フロリダでは半袖で過ごせてよかった。


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応募もしてないとこから「履歴書を送ってくれてありがとう」みたいなメールが来て、とりあえず面接受けた結果インターンシップが決まるも、タダ働きなうえに結構めんどくさいことがわかり、私にやる気がないためまったく仕事がすすまず、何もしなかったら数週間でクビになった。縁がなかったね。てかそもそも応募してないがな。誰だよおめーは。

真田丸カーナビ - Togetter

 

貧乏シェアハウス暮らしが始まり、初めて本格的にスーパーマーケットで色々と揃えたが、あまりの物価の高さにスーパーを歩きながら涙が出る。

 

3月

レジュメとポートフォリオを頑張って作ってた日々。

3月だっちゅーのに寒すぎて、学校のクラスメートと「俺の母国はもう〇℃自慢」をする。

 

4月

学校卒業。私としては良い経験だった。色んな人に出会えたし、何より「経験不足や語学力不足を恐れてもなんにもならん。めいっぱいアピールして仕事を取りに行け」みたいなマインドセットの人たちに囲まれてたのがよかったことだと思うな。

運良くインターンシップが2つ見つかる。そして、バイトも続けてたので、なぜか3つも仕事をする日々が開始。でもこの「忙しくしてないと不安」みたいなのって完全に日本で社畜だった後遺症だよなと思う。他のクラスメートなんて、全然働いてなくてのんびりしてたから、「日本人はよく働くって本当なんだねえ」とか言われた(望んではない)。

仲良くなれそうな人かも〜と思って食事に行った人が、私がこの土地で会った人史上一番のクソ女で、精神的に苦しめられることとなる。

 

5月

マジで死ねと思うクソ女との出会いであったが、「このまま別れたら負けた思い出のまま終わる」と謎の奮起をし、その後も数回一緒に出かける(本当になぜ)。あまりにも全ての会話の言葉尻をとってマウントを取ってくる人だったので、私としては、「今後こういう人に会ったときにマウントをとらせない会話の練習」のつもりで会った。細心の注意を払って会話をしてもすごい最悪な攻撃をしてきたため、本物のクソ女はマジで手強い…と思った。

トリプルワーク生活でマジで1秒も時間が無い!!とか焦っていたが、とはいえ時間を拘束されるだけで、責任が伴う仕事では無いため、なんかフワフワしていた。

よ〜〜〜やく暖かくなってきたので、ビーチ(という名の湖*2)でチルったりしていた。実に11月〜5月までが冬の国。本当にヤバすぎ。なんで移民先として人気あるんだよ*3

オタクイベントに行ってみる。この都市にこんなにオタクいたんだ?!と思った。バ先のイケメンが東京卍リベンジャーズのコスプレしてるとこに遭遇して笑ったが、彼は恥ずかしがるどころか「あとで写真送ってねー!」って感じだった。アニメ好き=キモヲタの時代は終わり、Z世代は陽キャもアニメ好きなのが普通なんかもしれん。

 

6月

同時期にバンクーバーに留学していた友達がおり、彼女の帰国前に旅行しようということで、バンクーバーモントリオール→ニューヨーク→トロントの北米4都市ツアー開催。本当に楽しかった!!!初めてニューヨークに降り立ち、ニューヨークが大好きになる。また、常々「何も無い国」だと思っていたカナダであるが、トロントバンクーバーに何も無いだけで、モントリオールという美しい街があることを知れてよかった。

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言語交換アプリでたまに会話していたカナダ人の子がモントリオール在住ということで、この機会に会えたのもよかった。

フォロワー10人くらいが読んでくれればいいかなと思って書いた実写版リトルマーメイドの感想ブログが命の危機を感じるレベルで拡散されてしまい、記憶をなくす。最悪なコメントもたくさんもらい、二度とこんな文書くかと思った。

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レストランで友達と食事してたときに、白人男性から差別的な扱いを受け、「こ…これが人種差別か!!」となる。というか、多分私の話す英語を聞いた上で外国人と思われ、見た目からしてアジア人の若い女と思われ、何重にも私がマイノリティだったから受けた総合的なナメられ体験だったんだと思う。衝撃&屈辱。日本で生きてて、アジア人であることを劣ってると感じることなんてマジでないから(あたりまえ体操)、なんか、「別に自分が悪いと思ってないことを、悪いという前提で話しかけてこられること」への腹ただしさって、今まで自分にない感情だったなあ。でもこの話をアジア系カナダ人の子にしたら「日本で女性差別を受けることあるでしょ。ムカつくけど、仕方ないな〜みたいに流してきたでしょ。そんな感じ。人種差別は日常的にあるけど、ある意味当たり前にそこにあるものだから、世の中にはクソ野郎もそりゃいるよねみたいに思って育ってきた」って言ってて、そうか…と思う。

本当は慣れたらいけないのだ

韓国人の女友達が2人できて、よく遊びにいくようになる。

北米最大級のPRIDEパレードがあったのも6月。本当にすごかった!なんでか知らんけど真っ裸の人(男性も女性も)がうろうろ歩いてて、自由の国すぎるだろと思った。LGBTQコミュニティの人だけでなく、街全体の一大イベントという感じで、ハロウィンやクリスマスよりも盛り上がってた。なんか本当に祝祭感が強くて、LGBTQ当事者じゃない人もふつーに気軽にこのイベントを楽しめる雰囲気自体がすごいことだよなあ。この国の根底を流れる「多様性が我々の強さ」というメッセージを目の当たりにする。1年を通して1番バイトが忙しく、腕ちぎれるかと思った。後から同僚と「ホンマにPTSD」「死ぬ前の走馬灯でこの日のこと思い出しそう」とか言い合ったのも良き思い出。


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片方のインターン先の上司が、白人・ヘテロセクシュアル団塊世代なのだが、この人との出会いは私の中でも印象的な経験のひとつで、「『私は差別はしないが〜』とか言いながら根っこの差別意識が滲み出てる人」という人そのものだった。ナチュラルに私を中国人と間違える、PRIDEパレードに行った話をしたら「過去出会ったレズビアンで性格が良い人に会ったことがない。これは差別ではなく観察結果!!」とか言う*4、「白人男性は今最も嫌われている。MARVELヒーローをはじめ、白人男性はどんどんハリウッドから追い出され、今は黒人やアジア系、女性やLGBTQのヒーローばかり…」と被害者しぐさがすごい*5、「カナダには性別が73種類あり、いつ自分の息子が『僕は本当は女の子』と言ってくるかヒヤヒヤした」とか、それカナダ人の友達の前では言えんやろ?みたいなことを言う、9.11同時多発テロや、ペンタゴン自由の女神などについてフリーメイソンを絡めた陰謀論をかなり信じている、などなど。いやこれでも一例すぎて、これだけをトピックに1記事書けるので割愛します。つまり、なんかそーゆー人なのだが、実際のところカナダやアメリカのマジョリティをしめているのはこういう白人保守層の人たちなんやなというのを垣間見た。

彼との会話を別のアジア系カナダ人の友達に話したら大爆笑されて「君がそんな人と働いてると知れて嬉しい。本当のカナダへようこそ。あなたの周りにいる人はアジア系とか若い子が多いでしょ?普段人種差別とかあんま感じないでしょ?でも君が今対峙してる経験そのものが、なんでアメリカでトランプ大統領が勝ったかの答えなんだよ」と言われ、その言葉が強烈すぎて、なんか忘れられない。

 

7月

バ先で会話するようになった子や、遊びに行く仲良い女友達が増え、なんか楽しくなる。夏のカナダは素晴らしい気候ゆえ、生きてるだけで楽しい。

バービー公開後、街中がマジでピンクになり、楽しかった。トレンドを目の当たりにしてる感があった。

aonticxx.hateblo.jp

 

りゅうちぇるの件があり、自分が前月に見た祝祭そのもののPRIDEパレードと日本のインターネットの落差にしんどさを覚えた。りゅうちぇる、ずっと尊敬してるし、大好きだよ。

咳がとまらなくなり、市販の風邪薬をどれだけのんでも一向に治らず、マジで2週間くらいずっと咳してて、同じシェアハウス内の人に「ずっと死にそうな咳聞こえてますけど大丈夫ですか」と話しかけられるほどだった。カナダに来て月一で風邪ひいてたけど、これは最大級の体調不良。あまりの治らなさと咳の感じから「これは抗生物質飲まないと治らないやつではないか…?」と自分で判断し、マジでビビりながらも病院へ。医療費どんくらいかかるんだろとか、どんだけ待たされるんだろとか、うまく英語で自分の症状説明できるか…医者の言ってることがわかるか…など、不安は山ほどあったが、もうとにかく日常生活が送れないのが辛すぎて、決死の覚悟で行った。結果、さすが移民大国というか、外国人が来ることに慣れているのか、かなり易しい英語で説明してくれ、それでも50パーくらいしか理解できなかったが、とにもかくにも抗生物質をGETできたし、それをのんだらついに治った。海外経験値アップ。ちなみに医療費のこと心配してたけどよく考えたらこのために留学前に高い保険料払ってるのであって、なんなら病院行って元を取るくらいの気持ちでいた方がいいじゃんと後から気づく。でもこのへんって緊急事態になってからじゃないと考えないんだよね〜。様々な面で日本の医療制度はかなりまともということにも気づかされる体験だった。

LAエンジェルスがトロントブルージェイズと対戦するということで、WBC1秒も見てないレベルのスーパーニワカだが野球を観に行く。なんと1回表で大谷翔平がホームランを打っていてすごかった。大谷がすごいこと以外まったく何も分からず、野球ってほんとうにつまんないなと改めて思う。


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自分としては珍しくラブハプニングに見舞われ、人生意味不明すぎて病んでいたが、感情のない友達から「まぁ先のことなんてわかんないしさ、当面は目の前のことをただ楽しめばいいんじゃない?」とのありがたいお言葉を賜り、指標とする。

 

8月

両親がカナダ旅行に来るも、トロントはあまりにも観光地がないということで、空港で15分だけ会って彼らはそのままナイアガラ&バンフへと旅だった。久々に娘に会いたいとかで来たんじゃねーのかよ。

フォロワーのえりさんがはるばる遊びに来てくれ、トロント&ニューヨーク旅行。いっぱいミュージカル観た!そして私が留学先を北米に決めた理由の9割をしめる、「ワシントンハイツに行きたい」という夢を叶える。本当に本当に楽しかった!!もう思い残すことはない。いや…また行きたい!!

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髪を切った。

8月15日に韓国人の友達たちがインスタに『独立記念日🇰🇷🫶』みたいなことを投稿してて、そっか韓国ではそうだよな〜と素朴に思う。

 

9月

再びモントリオール小旅行に行く。

学校のクラスメートたちが結構帰国する時期で、しんみり。それはそれとして私はビザを更新するために、ナイアガラへ。ビザを得るためには一度国境を超える必要があるため、アメリカとの国境があるナイアガラに移民局があるのだった。単にナイアガラの滝に行きたいという友達が一緒に来てくれて観光もとても楽しめた。


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だんだん寒くなってきて、半袖では過ごせなくなってくる。悲しみ…

 

10月

家を出なくてはならなかったので再び家探し。まじ見つからんすぎて、好条件とは言い難いがまあいいかここでも…みたいなとこに決めてしまう。決めたあと室内に洗濯機がなく、コインランドリー生活を送らねばならないことに気づいた。7ヶ月も冬の国でなんでコインランドリー生活なんて…(涙)

なんか生活がマンネリ化し新しいことを始めたくて、友人のツテで新たなバイトを始める。

物価が何もかも高いこの国では自炊を頑張って節約しないとと思っていたが、このあたりで、「この街で最大のエンタメは外食なのでは」と気づき、自分の中で外食OKモードになる。高いけど、他に金で買える楽しいことがあまりにも少ないのだ。

ハロウィンが最も盛り上がるストリートとやらに行ってみるが、全然だった。バ先が、10月31日に出勤する人はみんなバービーテーマの服で来ること!という企画をしてて、私はシフトがなかったのだがみんなが何着てるか気になって顔を出す。最近カップルになった2人がガチのバービー&ケンコスプレしてて、超可愛かった。私は、ティッシュ使った低予算アイデア勝負ヘアアレンジ 笑


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11月

引っ越す。実際住んでみると、色々と良くない部分が出てきてテンション下がる。同じ家賃で東京23区内のナイスハウスに一人暮らしできたのに…とか考え出すと止まらない。なぜこんなQOLを下げてまでこの国におるんや私は。

初めてスケートをする。絶対に下手だろうと思っていたが本当に下手だった。

 

12月

街中がクリスマスムードになり、クリスマスマーケットに行ったりして雰囲気を楽しむ。スタバのホリデーカップがめちゃくちゃ可愛くて、普段あまりスタバに行かないけど12月は通いまくった。


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自分の中で飲茶大ブームがおき、調べまくる。チャイナタウンの近くに引っ越してよかった!!と思う。家の内部はあまり良くないが、立地は良いのであった。

クリスマス直前に風邪をひき、寝込む。年越しカウントダウンはNYタイムズスクエアのライブ配信を見ながら。

 

 

総括すると、前半は割と意思を持って自分を厳しい環境に置いたりもしてきたが、だんだんなあなあになってきたり、そもそもこれってわざわざ外国に来てまでやりたかったことか?みたいに思ったりして、なかなか上手くいかないことも多かった(実際それで何回かトラブルも起こした)。一方で、20代ほぼすべての時間を社畜として過ごしてしまい、引き換えに得たものなんもなくね?と思っての退職&留学だったため、履歴書には書けないが自分の人生を長期的に見るととてもプレシャスな1年間を過ごしたという感覚もある。たくさん旅行も行ったな!今しか出来ないことと貯金残高を天秤にかける日々ではあるが、最近はあまり貯金を切り崩さずこちらで働いて得たお金で生活を回せてる気がする。仕事や人生に対する考え方がじわじわと、だが確実に変わっていってるとも思うし、日本に帰ったらあっという間に昔の私みたいに戻っちゃうのかな〜それは嫌だな〜やはり意思を持って自分を変えていかなければ…みたいなことはじんわりと思っている。帰国後に向けて今やらなきゃいけないことも色々あるんですけどね〜

だが最近は生活にも慣れてきて、本当にそろそろ新しいこと始めるタイミングが来てるとも思うので色々模索しております。

がんばれ私!!

そして英語がまったく伸びていない!!ここも本当にがんばってくれ私!!

 

去年、旅行も色々行ったしブログに書きたいこともたくさんあったのに時間を捻出できなかった… 本当はちゃんと書いて残したいんだけど。2024年はもっとカジュアルに書いてアウトプットいきたい所存。この記事はほとんどスマホで書いてみました。パソコンで構えて書こうとするから腰が重くなるのかなと思って…文字の装飾やリンク挿入など、スマホでできる機能に制限はあるけど、文字打つのと画像挿入はスマホからの方が楽かもしれませんね〜色々試してみたいと思います。

 

いい年にするぞ!

2024年ーー 富、名声、力、この世の全てを手に入れてみせる。

 

linktr.ee

marshmallow-qa.com

 

*1:ブログに書こうと思っていたのだが、準備篇まで書いて力尽きている…

*2:トロントは海に面していない

*3:世界一永住権が取りやすい国だからである

*4:そもそも差別感情を持つヘテロ男性に優しくしたいと思うレズビアンの人なんておらんやろって話だし、もっというと、自分は差別したいのに相手からは優しくされたいってどんだけ特権階級思想なんという話

*5:こういう話をアジア系カナダ人の子に話すと「そういう人って本当にいるけど、じゃあ俺と人生交換したいか?ってマジで思ってきた」と言っていて、考えさせられる

世界の中心は女の子、それがバービーランド!…それで終わっていいんだっけ?/新時代のガールズムービー、映画『バービー』感想

日本公開日前までに書こうと思っていたのだが普通に間に合わなかった。後回し癖どうにかせんかい。

 

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映画バービー観てきました!!一言で言うと「最高〜‼️😂👏」なのですが、一応書いておくと、私は公式ツイッター騒動 が起きる前にこの映画を鑑賞しております。なので純粋な気持ちでこの映画を観ることができたラッキーな人間であり、なるべくそのときの気持ちを思い出しながら書きますが、#baebenheimer についての北米滞在中日本人としての見解もちょっとだけ後述したいと思います。

 

もくじ

 

映画の感想(※大ネタバレあり)

もうとにかく、マーゴット・ロビーライアン・ゴズリングが最高of最高of最高すぎる。優勝!!!!!て感じです。予告見た時点でもうこれは勝ち確キャスティングと世界中の人が思ったと思うけど、本編見たらさらにその上、The perfect casting ever...‼️て思いました。


www.youtube.com

 

特に冒頭シーンのマーゴット・ロビーはリアルバービーそのもの。この世界観のシーンだけ永遠に見ていたい!と思えるほど!そもそもマーゴット・ロビーが完璧なルックスの持ち主ってのもあるんだろうが、衣装、ヘアメイク、そしてマーゴット・ロビーのドール風の動き、圧倒的なハッピーオーラなどなど、もう本当にすべてがかっちりハマってうっとり。女の子の憧れの世界そのもの。はぁ、もう、大大大好きにきまってるやん、女の子に生まれてよかった〜!!て感じです。最高!!

 

ライアン・ゴズリングも負けず劣らず最高で、まずケンのキャラクター設定として、バービーが好きで、中身が特になく、バービーに見てもらえた日以外はハッピーではないっていう、な〜んかしょうもないけどキュートな男感がうますぎ。これ言語化むずい!でも観たらみんな笑っちゃうと思うし大好きになっちゃうと思う。ライアン・ゴズリングは私の中ではラ・ラ・ランドの人というイメージだったから、こんなにコメディ演技も上手いのかと感服しました。

 

キャスティングといえば、まずこの映画の勝ち確設定として、バービー=マーゴット・ロビー、ケン=ライアン・ゴズリングっていうキャスティングではなく、「この世界にいる女の子はみんなバービー、男の子はみんなケン」っていう設定にしたことだと思います。言われてみれば確かにそうだなとも思えるし、とはいえ0からその発想にたどり着いたのはやはりすごい。監督と脚本家のクリエイティビティやな〜!と思う。

さらに、アフリカ系のバービー、アジア系のケン、車椅子に乗ったバービー、プラスサイズのバービー、妊娠中のバービーなどなど、これでもかというほど多様性をもったキャスティングをしており、ポリコレクリアのためにそうしました◎◎◎...なのかと思いきや、そもそもマテル社がそういうバービー人形・ケン人形を既に出しているっていうとこまでメタ的で面白い。EDで明かされるんだけど、映画の作中で出てくるたくさんのバービーたちは実際に発売されたルックを再現しているようだ!こういうのファンには嬉しい〜

 

さらに、大統領のバービー、宇宙飛行士のバービー、医者のバービー、工事現場のバービーなど、バービーたちの職業もさまざま。これも、ポリコレクリアするための映画オリジナル設定ではなく、実際にマテル社が出している"You can be anything(あなたは何にでもなれる)"コレクションの再現っていうのがおもしろい。

 

じゃあ、人種や身体的特徴、職業に多様性のあるバービーがたくさん出て、私たちは平等🎶なんにでもなれる🎶ハッピー!!🎶っていうメッセージの映画になるかっていうと、そんなの安直すぎと言わんばかりのストーリー展開になるとこがこの映画のいちばん面白いところだと思います。私がこの映画を「アメリカさすがにすげ〜〜!2023年のガールズムービーってこんなことできるんだ」と思った一番の理由は、「金髪碧眼白人スタイル抜群のバービーは、現実社会を生きる女の子に画一的で不自然な"美の基準"を刷り込むという批判があったこと」「批判を受けてマテル社は人種や体型、職業が多様な人形を販売していること」は、すでに見る人全員が知っている前提で、それをメタ的にネタにし、「じゃあその先は?」って展開に持っていってるところです。

 

特に、大統領から宇宙飛行から医者から工事現場作業員まで麗しい女の子が担当する社会・バービーランドを「現実社会(男性中心社会)の真逆の世界」っていう立ち位置に捉えるの本当に面白いと思った。んなわけないよね〜wwwっていう。冒頭の「バービーランドでは女の子の悩みはすべて解決したのでバービーはいつもハッピーです🎶」みたいなとこからパンチ効いてる!!笑

バービーがいないと自分の存在価値すらあやふやになってしまうケンが、現実社会(男性が中心の社会!!)と出会い、父権主義に目覚めるっていう展開、腹立つけどおもろすぎ。てか、こんな大衆受けど真ん中みたいなエンタメムービーで Patriarchy(家父長制)って単語が連発されること自体が、さすがにアメリカは進んでんなと思わざるを得なかった。ここ日本語吹替で正しいニュアンスで翻訳されるかどうかすら個人的にはハラハラする。観た人いたら教えてください!笑

feminismやら patriarchyやら、日本では(というか多分アジアでは)、単語を聞くのも嫌だみたいな感じで拒否感を持つ人が多い概念を、映画鑑賞者全員が前提知識として持っていると信頼できること、その上でそれをユーモアでぶっ放すクリエイティビティがあることが、アメリカという国の力であり、かつ、この映画を作った人たちの力だな〜と本当に思いました。

 

要所要所でぶち込まれるジェンダー論あるあるがおもしろい。

・「みんな私をモノみたいに見てくるの!😫」ってバービーが言うシーン、これは実際に街中などで女性が男性からモノを見るような目でジロジロ見られることがあることの表現ではあるが、実際にモノ(玩具)であるバービーが言っている面白さもある

・バービーランドでは大統領も女性だが、途中ケンがアメリカの成り立ちを知るシーンで流れるように、女性米大統領なんて過去に1人もいない

フェミニストであろうとする男性、「私も女性から生まれた」とか言いがちwww (間違ってはないけど、「ゲイの友人がいるので私はLGBTQ差別をしない」みたいな、なんじゃそりゃ理論に聞こえる)

・女性向け商品/サービスの会社も、経営層は男性が占めがち(マテル社もなんかーい!)

・男、戦争始めがち(全世界あるある)

 

こういう社会背景を、皮肉のきいたユーモアでバンバン出してくるところがさすがやな〜って思いました。

 

バービーを映画化するっていう企画の時点で、「多様性のあるバービーたちが協力しあう」ってだけでも1つの話は作れただろうけど、この映画のさらにおもしろいポイントとして、バービーの所有者である人間の母娘がメインキャラとしてがっつり出てくるところだと思います。

Z世代の娘(そして非白人!)は「あなたを見ていると自分が美しくない、完璧じゃないって感じる。だからあなたが嫌いなの」と、いかにも、多様性の大切さが提唱され始めた世代っぽい意見を述べるのに対し、その母親は「1人で寂しかったとき、いつもあなたが遊んでくれた」と、永遠の友達の象徴としてバービーを今も大切に思う気持ちを持っている。バービーはアメリカ社会においてその2つの側面を持つ玩具であり、この映画を観る多くの人、特に子供の頃バービーで遊んだことのある女の子は、そのどちらか、あるいは、どちらもの気持ちを持つ人が多いのではと思う。その両方の気持ちを肯定するような、バービー人形と、それで遊んだかつての少女たちに対する愛情深いまなざしも感じました。

 

バービーなんて!と言っていた娘の方が「今度は私たちが彼女を助ける番じゃない?」と母を諭す場面はとてもすてきなシスターフッドだと思います。バービー同士の友情ってだけじゃなく、人間側がバービーのために何かしてあげようとする、そんな展開想像もしなかった。

 

お母さんがバービーたちの前で演説ぶちかますシーンがめちゃくちゃよくて、このメッセージを入れられるのは制作陣の信念だと思った。「女性は美しくありなさいと言われる、でも男性を変な気持ちにさせるほど美しくなりすぎてはいけないとも言われる。素敵な母親でありなさいと言われるし、社会に出て一生懸命働きなさいとも言われる。女性に要求されるすべてのダブルスタンダードを満たせる完璧な女性になんてなれっこない」...これは実社会を生きる私たちへの力強いメッセージでもあるし、同時に、ステレオタイプなバービーが”イコール悪”なのではなく、そもそもたった1人の女性像がすべての女性のレプリゼンテーションになどなれるはずがない」という、バービー人形に対する再解釈の可能性も感じられてとても良かったです。


また、バービーと、バービーを最初に生み出した創業者が対話するシーンもとても素敵なシスターフッド展開だなと思いました。時代の要所要所で批判も受けてきたバービー人形ではあるが、そもそもは女の子の幸福を願って作られたおもちゃである、というところに立ち返ってみせたのも、映画制作陣(女性監督)から、バービー創業者の女性へのリスペクトの気持ちが感じられてとてもよかったです。

娘の名前バーバラにちなんでバービーと名付けたのよ...のシーンはじーんとしたし、そしてバーバラさんご本人がとても素敵なカメオ出演しているのもすっごくよかったなと思います。

 

バービーが最後、人間になるという選択をするのは、そんなんアリ?!って思ったけど、言われてみれば確かにバービーは人形なので、それで遊んだ女の子の数だけ物語を作ることができ、"あなたはなんにだってなれる"が昨今のバービーのテーマなんだから、これはこれでありえるのか...と思ったり。「ケンのアイデンティティを探そう」のくだりは蛇足だなと思ったんですけどwww(こんなに父権社会を皮肉って、最後には「男の子のこともちゃんと気にしてあげよう🥺」で終わるの、どーなん??て思ったwww)あのシーンアメリカの人にはどう写ってんのかな。

ラストのバービーの一言が大オチとして完璧なので必見です!!!ちなみに私は英語がわからず「オチが...わからん!!」という悲しい結末になったのもいい思い出(後から英語話者の友達に教えてもらいました🤣爆笑)

 

あと全体として、バービーを無理にGirlBossにしなかったのも凄いなと思った。トイ・ストーリー4のジェシーとか、映画マリオブラザーズのピーチ姫とか、昔からいる、いわゆる女の子らしいヒロインを現代版に落とし込む時に「戦うヒロイン」にアップデートされることが多くて、それはそれで1つの解だとは思うんだけど、バービーを金髪碧眼白人スタイル抜群美女のまま、ファッションとヘアメイクが抜群に可愛くて、特に仕事してるわけでもなくマイノリティ性を持ち戦ってるわけでもない女の子のお人形さんとしてそのままヒロインに持ってきて、それでもフェミニズムのコンテクストを多大に織り交ぜた作品に仕上げることはできるという、そこの企画性の高さや発想の豊かさがすごいと思いました。物語をより面白くする方にポリコレやフェミニズムを組み込める創造性ってやっぱりアメリカはレベル高いな〜と思います。

 

社会現象としての映画バービー

前提を書いておくと私が今滞在しているのはカナダであり、アメリカではない。周りにいるのはカナダ人で、アメリカ人の友達はおりません。ただ、これはカナダの特種な側面だと思ってるんだけど、政治的なこと・歴史的なことを語るときは「カナダはアメリカとは違う」という論調なのに対し、映画やポップカルチャーについて語るときは「北米ではさ〜」とナチュラルに自分たちとアメリカ人を同化して喋る人ばかりなので(笑)、まあ、映画バービーに関してカナダで私が見聞きしたことと大体似たようなことがアメリカでも起こっとるのでしょう、という仮定の下話します。

 

バービーの公開日後、特に最初の週末は、街ゆく人に明らかにピンクの服装が増えていて、バービー観てきたんだなって人は見た目でわかる、とみんなが話してるほどだった!ただの映画というより、ひとつのムーブメントを目撃してる気持ちでした。

商業施設に入っても、すべてのブランドがバービーとタイアップしてるんかと錯覚するほどあちこちでバービーグッズを見かけたし、


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特にタイアップしてなくてもなぜかピンク色のものを展示してるテナントも増えてました。まさに社会現象!!


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公開初週にピンクの格好してた人たちはお互いにバービーを見る人ってわかってるから、「Hiバービー!」って声かけあったりしてたらしいwww 陽キャの国だ...

 

最大手の本屋さんindigoがバービーのポップアップストアをしてたので覗いてきました。


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まず、"The most diverse doll line"ってキャッチコピーがおもしろい。そこが売りなんだ感。

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映画にも出てきた車椅子バービー始め、ダウン症のバービー、歯科矯正中のバービー、義足のケン、まだら肌のケンなど、人種だけじゃなく身体的ハンディキャップを持つドールもかなり発売されている。これってほんとアメリカならではだよな〜としみじみ思います。なんか、「メディアに出るものに自分を投影することができるかどうか」という概念、要はレプリゼンテーションの重要性が、日本よりずっとずっと高い文化圏だなと感じる。

www.cosmopolitan.com

 

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You can be anythingコレクション。The女の子向けドールっぽい、美容師さんやメーキャップアーティストもいるけど、医師・救急救命士・音楽家のバービーが売られていた。ただ横にいたアジア系カナダ人の友達が「ほらやっぱり、音楽家バービーはアジア系。アジア人は楽器が弾けるってステレオタイプがあるからね」って言ってたの興味深かった。よく聞くステレオタイプだよね〜

 

少し前にNY自由の女神を観光してきたのですが、自由の女神は戦時中はアメリカの愛国心を高めるプロパガンダとしてイメージを利用されてきたが、戦後はポップカルチャーとコラボすることも多く、今もなおアメリカ社会を象徴する存在である... みたいな展示があって、そこにバービーもいたことを思い出すなどした。バービーはただのおもちゃの域を超えた、アメリカ社会のカルチャーアイコンなのだなと改めて思いました。だからここまで映画も注目されたんでしょうね。

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#baebenheimer とバービー公式Twitterの騒動について(※オッペンハイマーの大ネタバレあり)

まず大前提として、アメリカではバービーとオッペンハイマーが同日公開であり、この2作品が両方ともS級ハリウッドスターや超大物監督が携わった大作であること、かつ、内容が真逆すぎるということから、ネット上で「どっちを見る?」と比較するようなコンテクストやミームが大量に生まれた現象のことを #baebenheimer といいます。明確な誰かが言い始めたわけではない。私の周囲のカナダ人の子も何人もこの映画たちの話題を出してました!

 

ちなみに私はオッペンハイマーも観てまして、まじで1ミリも内容が理解できなかったため、このミームが1番好きです。

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ざっくり一般化しちゃうと、バービーが「典型的な女性向け映画(ピンク!ハイヒール!ファッション!ドール!)」、オッペンハイマーが「典型的な男性向け映画(戦争!兵器!愛国!名誉!)」と、本当に真逆すぎるため、その落差が面白いよねっていうブラックユーモアが #baebenheimer です。2つのイメージを組み合わせ、バービーの背後で核爆弾が落ちているファンアートが生まれているのも、要はネット上で匿名だからできる"不謹慎ギャグ"だと私は捉えています。

 

※余談だけどオッペンハイマーに女性の登場人物は2人しか登場しない上に、2人ともオッペンハイマーの恋愛相手でしかなく(政治や戦争に関わる働きをしない)、そしてその内の1人は大半が裸っていう、ほんとにバービーと真逆もいいとこのThe 男映画です。バービーが退屈だった男の子、必見。当然ベクデルテストはパスしてません。さらにいうと近代史ものだから仕方ないとはいえ登場人物のほぼ全員が白人という、クリストファー・ノーラン監督だから許されたんちゃうかと思うほど、2023年においてもはや逆に珍しい作品となっております。

 

どれくらいバービーとオッペンハイマーがセットで語られているかというと、先程のミームもそうですが、

例えば「映画バービーを観に来た人は一目でわかる」現象をネタにしたこの動画でも

www.instagram.com

キャプションに「明らかにオッペンハイマーを見に来た私たち」ってついてたりとか笑、

 

最近離婚発表したカナダのトルドー首相が、離婚発表後にツイートしたのがこれ

1番のアピールポイントは「離婚後も私たち家族は仲良しですよ!」てことなんだろうけど、息子とバービー、娘とオッペンハイマーを観るっていうパフォーマンスがさすがトルドーというか、パフォーマンスってわかっててもこれをやれることがカナダの首相の役割なんだなと思わされる。とまあ、首相がこの2作品を並列で語るくらい、北米の人にとって、なぜかなんの関係もないこの2作品がセット扱いされるのが普通になってるという事実があります。

 

で、アメリカ側にはその文脈があるため、「(こんな大作が同時公開され、みんなの話題はこれで持ち切りな2023年夏は)忘れられない夏になりそう!」と言っちゃう気持ちは、まあわからんでもないというか、そりゃそっちにとってはそうよな、という気持ちにはなる。背景文脈が全然違うってことです。

一方で、日本にとっての夏、そしてそこに原爆が絡むとなると、忘れられない夏っていうのは8月6日の広島であり、8月9日の長崎であるのも、それはそうであり、「ジョークのネタにしないで」と思う気持ちは私は正しいと思ってます。どんな国にも茶化されたくない負の歴史はあり、そこを踏みにじられたときに怒る権利は私たちにはある。まして、原爆落としたのおたくですからね?っていうね。夏にウチらに何したか忘れたんか?ってなるのは、国民感情としては自然だと思う。

www.nikkansports.com

 

ただ、なぜか日本だけオッペンハイマーはおろかバービーも日本も公開されてなく、映画の中身を殆どの人が知らない状態だったので、日本が巻き込まれた騒動でありながら、ガワでしか判断できない状況だったのも良くなかったなと思います。

 

で、それで「絶対にこんな映画観ない、売上に貢献したくない」って人の意見も少なからず見たし、わかる気もするし、その行動を止めることはできないけど、私の見解としてはこれは不幸な事故の側面が大きいな...と思っています。SNS担当者はたしかに軽率で無神経ではあったが、その一言によって映画バービー製作陣全員が日本の原爆投下を軽んじてるといえるかというと、決してそうではないし、そもそもバービーとオッペンハイマーは共同プロジェクトではない。バービー観たいけどあの一件がな〜ともし引っかかってる人がいたら、私は胸を張って映画バービーをおすすめできるし、むしろ全体の議論に参加するためにも観てみるといいんじゃないかな、などと思ったのでした。

 

アジア圏での映画バービーの受け止められ方、一緒に観た韓国人やベトナム人の女友達と話したことなど

私と一緒に映画を観た韓国人の女友達いわく、「公開したばかりなのにすでに韓国のネットでは低評価がついてた!!韓国の男は本当にフェミニズムが大嫌いだから、だから低評価つけてる。...ってことは、良い映画ってことね!!!!!👍👍👍」と言っていた😂笑

まあでも日本のFilmarksを流し見する感じ、日本も似たようなものだよなと思う。ベトナム人の女友達も、ベトナムは未だに長男信仰があって女の子は望まれないとか、父親や祖父が家族の中で一番偉いとか話してくれて、バービー映画を通じてアジア各国の男女格差の話とかできたの興味深かったな。

当たり前ですが北米にもまだまだ女性差別ジェンダーにまつわる諸問題は依然としてあるし、意識の個人差もめちゃくちゃあるんだけど、じゃあこの映画バービーみたいな作品を私たちの国に作れるか?っていうと、まだまだ難しいよなと感じたりもするのであった。

 

最後に最近見て面白かった動画を紹介します。

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中国で映画バービーがめちゃくちゃ流行ってる理由として、この映画が「ボーイフレンド・テストになる」っていう話です。中国では、映画バービーの鑑賞途中で席を立つ男性が多く見られたり、登場人物や監督の女性に強い不満や反発意見を持つ男性が見られたりして、そのことから、「あなたのボーイフレンドが映画バービーにどんな反応をするかどうかで、良い彼氏かどうかわかる」って言われてるんだってwww もし彼がこの映画の言おうとしてることを半分でも理解できてるなら、あなたの彼氏はまあ普通。でももしやたらと否定しようとするなら.....この話、個人的にはすごいわかると思ってます。

明らかなガールズムービーの世界観だし、ピンクのドレスコードで映画館に行こうムーブメントがもし日本でもあるとしたら絶対に女友達と行く方が楽しい映画だと思うけど(この映画にこめられたジェンダー論要素を、絶対に女同士の方が理解できるというのも含め)、あなたのボーイフレンドと観に行ってみることで、あなたの彼が、自分と同じ解像度で社会のことを見れているかが判明する良いテストになると思います。ぜひ一緒に観に行ってみてはいかがでしょうか?

 

 

いろいろ書きましたが、とにかくエンタメとして単純にめちゃくちゃ面白いし、一方でたくさんの社会問題を組み込んで練り上げた上質な作品でもあるので、鑑賞後に対話を生む映画だと思います。リカちゃん人形との比較とかも色々考えたんだけど、とりあえずこのへんで!

 

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