「道長様。…嵐が来るわ」全員の愛情が錯綜するすばらしい平安ドラマ・光る君への感想

『光る君へ』、本当に本当におもしろかった!大好きなドラマでした。平安時代を描くというNHKの技量にも感動したし、恋愛を軸にしたそれぞれの人間関係、愛情と哀しみの錯綜する、すばらしいドラマだった。ロスだよ~!ついスマホをだらだらと見てしまいがちな現代において、質の高い大河ドラマを観る時間は私の人生リセット法となっている。全体の感想と、印象的だったキャストへの贈る言葉です!

 

 

 

 

 

全体の感想

まず、武士の世より前の貴族の時代をこんなに豪華にドラマ化してくれることが贅沢だったとしみじみ思う。もうこうなったらいつか、奈良時代とかしてほしい。中大兄皇子中臣鎌足を2大主人公にした大河ドラマとかいつか来るんちゃうか。衣装もセットもなにもかも雅できらびやかで素敵だった~~!目の保養で毎週うっとりしてた。時間の流れがゆっくりなところも現代とかけはなれててよかった。そんな中、その時代の価値観でしかおきえないこともあり、現代の価値観でも理解できる人間模様もあり。古文と現代語をうまくちりばめたようなドラマだったと思います。

まひろだけでなく道長も準主人公に置いたことで、女流作家・下級貴族の女性目線で見た世の中だけでは見えない、宮中の政治バトルや人間模様も見れて、ただの人間ドラマではなく歴史ものとしてもしっかり面白かった。政治がすべて人間関係で決まっていた時代、すげ~!全員親戚同士で結婚してるけど大丈夫なんか!?といつも思っていた。。笑

 

このドラマはキャスティングが光っていて、有名な俳優、ベテラン人にいたるまで当て書きのような説得力。また、タレントや芸人キャストがほんとーーに芸達者で、物語の良いスパイスとしてとてもよく機能してた!!最終回、ロバート秋山の演技に泣かされると誰が予想できたでしょうか。笑

 

紫式部だけでなく、清少納言(『枕草子』)、藤原道綱母(『蜻蛉日記』)、赤染衛門(『栄花物語』)、和泉式部(『和泉式部日記』)菅原孝標女(『更級日記』)など、活躍した女流作家たちをたくさん出し、紫式部と接点を作る脚本がうまく、文学ドラマとして本当にすてきだった。シスターフッドがたくさんあってどきどきした!!特に、紫式部清少納言が実は腐れ縁の不思議な友情でつながってるっていう描き方は、大胆な創作だけどみんなが見たかった二次創作という感じで、本当に楽しかった。私的本作のMVPは清少納言を演じたウイカちゃんです。

 

主人公2人が恋愛を軸につながるので恋愛ドラマだという印象が強かったけど、男女関係でないシスターフッドやブロマンス、主従関係から何から何まで、いろんな形の人と人との結びつきを細やかに描いたドラマだなとも思った。主人公まひろの第1話から最終話までそばにいるのが、恋人でも夫でもなく従者の乙丸だったこと。行成から道長への想いの描き方。女房(まひろやききょう)が自分の家族よりも献身する姫君の存在。

 

生きることはむなしい、友情も恋愛も人生を通り過ぎて、孤独は1人で引き受けるしかない。そんなことを、男も女も運命に翻弄されて、人生は前に進むしかなくて。でも、その中で1つでも自分の命を生かす道を見つけられたら…この人がいるから自分も生きていけると思える人に出会えたのなら…そんなことを思わずにいられないドラマでした。

 

最後の終わり方、ぶつ切りENDもすごく勇気のある演出だったと思うけど、それまでの視聴者の信頼を勝ち取れてたからこそできたことで、すごかったねえ!!私としては、傑作と呼ばれる大河ドラマの条件って、1人の人の人生を描きながらも、最後には「その時代を描いてたんだ」って思えるものだと思ってて*1、そういう点で、武士の時代が来るのを予感させて終わるこの最終回は本当にお見事!!道長様。…嵐が来るわ」―—この最後の台詞、ずっと忘れないと思う。

 

キャストへの贈る言葉

まひろ(藤式部)/吉高由里子

最後まで作中で紫式部と呼ばれることがなかったのが意外だったけど、史実では生きてる間に呼ばれなかったのかな??

いわゆる、平安時代の「おもしれ―女」であり、吉高ちゃんの十八番じゃんと最初は言われていたのだが、結構序盤から、これって吉高ちゃんの持ち味とは結構別のベクトルのおもしれー女だなと思っていた。天真爛漫でフレンドリーで関わる人全員から好かれる吉高ちゃんとはどちらかというと真逆の、「根が暗くてうっとうしい女(弟談www)」であるまひろ。でも、文学の天才で、世の流れを、時代を変えるほとの物語を書き、帝の心さえも動かす女。すごいのに、不器用で、でも圧倒的に魅力的で。吉高ちゃんの和風のお顔がよく映える、大当たりな役だったと思います。まひろの生きた平安時代がほんっとうにすてきで、追体験をしてるみたいだった。

愛した人に一番に愛されて、でも正妻にはなれない。源氏物語の若紫が苦しんだのと同じような感情をずっと持っていたのかもしれないね。一夫多妻が当たり前だったこの時代においても、「妾は苦しい」という価値観は明確に打ち出されていて、それがなんかはっとさせられました。

 

藤原道長柄本佑

えもたすってなんでこんなに色っぽいんだろう!?笑 平安貴族のお顔立ちだなぁーーといつも思ったし、優しくてのんびりした三男坊だったときも、天下人に上り詰めてもいつも空しい権力者のときも、ずっとまひろを大好きで何回も振られる一途なところも、全部全部本当に魅力的だった。まひろにとって運命の男だったのも本当にわかる一方、「だからまひろは振るんだよなーー」っていうのもわかる、絶妙なポジション!!なんでも手に入れたのに、欲しかったものは何一つ手に入ってないような、そういう、あの時代の平安貴族の虚しさを感じる寂しくて華やかな姿、彼にしかできなかった役だと思います。

ただ欲を言うと、そののんびりした三郎だったときから、なぜ娘を全員入内させるほど強欲になったのか?そのへんもうちょっとガッツリ書き込んで欲しかったです。描こうと思えば描けたのでは〜!「民のための政治」を実際にやってたのか、口でそう言ってるだけで実際には目の前の権力を追うだけになってたのかとかももうちょっとあればなーと思いました。

清少納言の「春はあけぼの…」、紫式部の「いづれの御時にか…」の書き始めのくだりが本当に本当に丁寧に描かれていて、視聴者としても「きたーーー!!」って感じだったんだけど、道長がみんなの前で「この世をば我が世とぞ思う望月の かけたることもなしと思えば」を詠む回もものすっごくセットから何から気合の入った作りで、「そういえばこの人もめっちゃ有名な歌残してたわ!!!」ってなりました。笑 学生時代に歴史の授業で国民全員が習う有名な物語や歌を、ドラマの山場にもってこれるって本当にすばらしいことだと思う。*2

 

藤原惟規高杉真宙

ほんっとに良かった!!陰気なメンバーが揃うまひろ家唯一の光。史実上、彼って紫式部の兄だったのか弟だったのかははっきりしてないようだったのですが、弟にして大正解すぎる…だっていかにもまひろって「弟がいる姉」の性格すぎるもんwww まひろが父親と対立してたときも娘と対立してたときもいつも明るいキャラでいつづけてくれて、「たった二人の兄弟じゃない」と、姉をからかいつつもずーっと味方でいてくれた弟。お互いにとってなくてはならない存在だっただろうし、「大丈夫、全部うまくいくよ」って最後に言い残してくれたの希望そのものだったな~。勉強は苦手だけど人の気持ちをちゃんとわかって、多分女の子にもモテて、ひょうひょうとしてるけど明るく優しくやんちゃで、まひろに、私らしさって何?と聞かれたときに「根が暗くてうっとうしいところ!!」と一言で切り返せる、まひろの最大の理解者だったと思う。先に死んじゃうの悲しすぎたーーー!!!役者さんの下の名前がまひろだったの、なんだか縁を感じるね。

 

藤原為時役/岸谷五朗

まひろの不器用で頑固で聡明な性格を作り上げたお父さん。頭いいのに不器用なところはまひろとそっくりだけど、まひろと違って人に対して優しいのよね~笑、そこは惟規が受け継いだかもね。「お前が男子であったなら…」は紫式部日記にも出てくる有名なフレーズなので、劇中で出てきたときもおお!と思ったけど、まひろが宮仕えに向かう前の日に「お前が女子であってよかった」と言うシーンは私も大号泣だった笑 こんなんずるい!!私は大河ドラマの中で、父親が娘の背中を押すシーンが大大大好きでして*3、このシーン、為時パパ関係の全シーンの中で一番泣いた。

こんなにずっと働いてなくていったいどうやって生計をたてていたのか本当に謎なんだけど、当時は貴族ってだけで何か手当があったのだろうか。

最終回で、ぼけが始まったいとに対してまひろと息の合った会話するとことか、最後までずっと優しいパパでよかったな~

 

乙丸/矢部太郎

こんなに弱弱しいのにまさか最終回まで生き残るとは…!!笑 越前に行く前後らへんの回でまひろからなぜ結婚もせずにずっとこの家に仕えているのかと聞かれたとき「私はあのときお方様を救えませんでしたので…せめて姫様はと…」とけなげで真っすぐな思いを語るところが名シーン!!

あと大宰府で帰りたーい!!って連呼するところ笑い泣きしちゃったwww わざとなのか素なのかやや棒読みで叫んでて、その中に一言だけ「あのようなことがあったところにいてはなりませぬ!」と本心をまぜるところ。よかったな~!

旅に出るまひろに「ずっとずっと一緒にお供しとうございます!」と頭を下げて旅路についてきてくれるのもじ~~ん… ずっとまひろのそばにいてくれてありがとう。

 

源倫子/黒木華

このドラマ、黒木華さんあってこそだったと思うし、彼女が全体のレベルを底上げしてたと思う。見事でした。倫子の役、黒木さんじゃないとこの仕上がりにならなかったと思う。最初は「うわぁ~本当に平安顔!!笑」と思ってて、だからキャスティングされたのかなと思ってたけど、そうじゃなくて、圧倒的な品格が必要な役で、文学的でクラシックな品を持つ(もしくは、そういう人を演じられる技量を持つ)黒木さんじゃないと、あのものずっごく位が高い家のお姫様/圧倒的正妻というポジションがにじみ出なかったと思う。本当にすごかった~。「それで?あなたと殿はいつからなの」の最終回ぶっこみ、背筋凍りました。はんなりイケズ!!!!!

倫子さまって、善人か悪人かで区別しようのない人というか…ほんまに金持ちの家に生まれた人はこういう人づきあいするんやなの解像度が高すぎる。相手を好きか嫌いかではなく、立場で付き合い方を変えられる人間って、この世にあんまりおらんと思う(人間には心があるから…)。でも倫子さまはそういう人。骨の髄まで平安貴族のお姫さまって感じだった。だから冷たくてしたたかな人に見えるときもあるし、器のでかいすごい人に見えるときもある。最後まで一切自分の気持ちを表に出さない、プロすぎる北の方だったわ。あっぱれ。最初に倫子のサロンに顔を出したときからまひろが「よくわからないけど倫子さまには興味があるから通いたい」と思った、地の人間力みたいなもんがすごいよね。だから道長の正妻になれて、6人も子供産めて、マジ鉄人やけど、でも殿の気持ちが自分に向いてないことには早々に気づいてしまう聡さもあって。けどまひろみたいに「女はなぜ政治に関われないんだろう」とか思っちゃうような感覚はなく、専業主婦としてやることやりますみたいなタイプでもあり。不思議でつかみどころがなく、ちょっと怖い気もするけど、でも性格が悪いということではないみたいな、ぜっつみょ~~~なバランスの上に成り立つキャラクターだった。黒木さんじゃないとそこのニュアンスを完璧に表せなかったと思います。はぁすごかった。

でも総集編見てたら最初はちゃんとキラキラしててよく笑う少女なんだよなー、演じ分けすごい。

 

藤原詮子/吉田羊

さすが吉田羊というべき役で、「天皇の母」というゴッドマザーぶりは迫力満点だったけど、その一方で、父親からも夫からも愛されずずっと傷ついてきた一人の少女だという面も演じ切り、お見事だった。道長が青年期からいう「女はみんな寂しそうだ」は、まさにこの姉を間近で見ていたからそう思ってたのだと思うし、「私は父が嫌いです。されど娘ゆえ、父に似ております」とか、台詞としてよすぎる。あと、「大好きな弟ゆえ、ずっと見ておっただけのこと」も好きだったし、いろいろ好きな台詞あるな~

最初、なんで定子に冷たくあたるのかわからなくて、息子にもっと天皇らしくふるまってほしいのかな…?と思ってたけど、「私にはなくてあの子の持つものはなんなの」という点で定子が苦手だったとは。藤原家って毒親の連鎖が特徴的で、みんな「自分は父上みたいにはならない!!」と思っても結局自分の子供に同じことをしてしまう、その連鎖があり、でもその中でも言いなりになり続けるのではなく自分の役割を果たし続けた立派な女性だったと思う。どんなに偉い立場になっても、「お前、好きな人がいるのね!」と道長の前ではチャーミングさが出ちゃうとこ、素敵だった。

 

藤原道兼/玉置玲央

前半を牽引したヒール役。本当に嫌なやつにも見え、毒親に振り回される愛着障害の次男坊にも見え、回を追うごとに「この人この先どうなるんだろう」と思わされた。ぐだぐだになって家族にも見放されたところを道長が自分は見捨てないって来るところは、きれいごとではなく本心だなと思わされたし、せっかく改心してこの退場はつらい…けど道長が三男なのにこんなに大出世したのは、一気にいろんな人が死ぬor左遷されたのが原因なのだと知ることもできた。

 

藤原定子高畑充希

華やか・知的・魅力あふれるお姫様。朝ドラで主演をはるほどの女優さんが脇役でキャスティングされるのすごいなーって思ったけど、観てからわかった。のちに主人公まひろが勤めることになる彰子にとって強大なライバルになる女性なので、主役級の女優さんをあてるのが正解だったんだと。充希ちゃんの大きな真ん丸の目でじっと見つめられたら、清少納言一条天皇もそりゃ~めろめろになるわ!!途中までは凛としたお姫様に見えてたけど途中から「も、もしかしてファムファタールなんか…?」とじわじわ思わせてくるまでの移行がすごい。兄の凋落で自分から髪を切る熱情的なところもあれば、それを機に心を亡くしてしまって生きることを拒む姿。清少納言の書いた枕草子、まさか定子が読むと思わなくてどきどきした!!充希ちゃんの美しい声で読み上げられる枕草子がどんなに美しかったことか。本作の屈指の名シーンだったと思う…爆泣きしました。

高貴なお姫様らしくあまり本心を見せないようなところもあって、何考えてんのかわからないな??と思ってたんだけど、兄に産めハラされたときに「それなりに励んでおりまする」って言い返すの、言い方ヤッバと思って痺れました笑

出産シーンでくったりと清少納言によりかかってるところとか本当に色っぽくて…めったに女性同士の関係性に萌えを見出さない私でさえ「こ、これは百合だ」と目を見開きました。

 

藤原寧子財前直見

財前直見さんは、私の中では直虎のお母さんの印象が強くて、しなやかで優しいけどどっしりかまえたようなところのあるお母さん役ということで本作も大変魅力的だった。石山寺でまひろと言葉を交わすシーンを入れたのはすごい演出だと思って、女流作家同士がお互いに影響を与え合ってたということを表すだけでなく「書くことで妾の苦しみを癒したのです」は本当この脚本のいろんな部分に繋がる台詞だったなあと思う。これをきっかけにまひろが、「何を書きたいかわからないけど、でも、書きたい」という衝動に身を任せて筆をとるのとか、すごくよかった。そしてこの時代であっても妾は苦しいっていうのも、そうなのか…と思った。

「まあ、ずいぶんおませなお姫様だったのね」って台詞すっごくすてき~!

 

藤原道綱上地雄輔

キャスティング担当の腕が光る采配 笑 正直旬の人ではないのになんで?と見る前思っていた人も全員納得したであろう、ほんまにすごいはまり役。直系の血筋ではないけど兄弟で、のんきで政治の才はあんまなくて、でも人当たりがよくて誰からもあんま嫌われないっていう憎めないヤツ!!実際、いつも道長の味方だったし、一方で実資とか他のメンバーともよく話してて、こういう人が組織に一人いると男社会ってなごむんよなとか現実的なことを思ったりもw 男の人って、自分を絶対裏切らないおばかな男を自分の部下につけるの好きだよねえ!!

 

赤染衛門凰稀かなめ

さすが宝塚出身!圧倒的に品格があって美しく、歌を詠む声ののびやかなこと。作中きっての人格者であり、「職場で誰かの悪口を聞いたときのかわし方のお手本」みたいなものを見せてもらいましたwww

序盤の倫子のサロンでまひろがKYすぎて他の姫様から明らかに好かれてない中、衛門さまだけが「そのような見方もありますね^^」と場を丸くおさめてくれて何度助かったことか…

まひろと道長の関係に気づいてまひろに問うたときの問答も圧巻だった。私も今後社内不倫に気づいたらあのような品格のある釘のさし方をしたいと思います。

 

ききょう(清少納言)/ファーストサマーウイカ

私の中で本作のMVPです!

枕草子の冒頭の有名な春夏秋冬の文章はもちろん知っていたものの、そのとき歴史上どんなことがあって何のために書き始められたのかはいまいち知らなかったから、「たった一人の寂しい姫のために枕草子は書き始められた」のナレーションで大大大号泣だった。

本当に聡明で、ハツラツとしてて気も強く、おもしれー女そのものであるが、ものすごい愛を胸に秘めた人であり、その誠実さや愛情深さに何度も胸をうたれ、泣いちゃった。ウイカちゃんは定子のことを「現代でいうと”推し”みたいな」「推しの良いところを書いて残したい、みんなに伝えたいと思ったんだと思う」という解釈で語ってて(アイドル出身だからそう思うのかな?笑)、それもまあわかるんだけど、高畑充希ちゃんは「"女子同士の恋愛"に近い友情を感じました」と語ってくれてて、私的にも後者に見えました。

www.nhk.jp

史実的にも今回の脚本的にも、定子と清少納言の関係には“女子同士の恋愛”に近い友情を感じました。天皇にも一時的に見放されて、頼れる人がいなくなったときに救いの手を差し伸べてくれたのが少納言だったという印象です。最初のころは、“主人”と“仕える人”という適度な距離感があったと思うんですけれど、自分の宿命に絶望して定子が命を諦めようとしてしまったときに少納言が活を入れてくれたあたりから、強い友情が芽生え始めたような気がしています。私にとって少納言は、「荒波の中で唯一つかむことができた花」みたいな存在ですね。

定子は帝の正妻だったけどなかなか子ができなかったこともあり、実父や実兄から「子を産め!」ハラスメントをうけまくるなど、サイテーな家庭環境でもあったわけだが、やっぱそういうときに女性の付き人が絶対的味方でいてくれるのってすごく心強かっただろうなと思う。姫と女房がそういう強い絆で結ばれてたってことを、せりふではなく脚本できちんと描ききってたと思いました。

まひろとの奇妙な友情の描き方もほんとーーによかった!!少女時代からこまごま会う機会があったという大胆な創作にすることで、まひろが宮中に入る前のことをいろいろぶっちゃけてくれる女友達みたいにもなったり、お互いに、「書くことが自分の力になる」「書くことが大切な人の命を燃やす」と直感的にわかってる才女同士にしかわからない絆があった。途中でいかに道隆の家系が端に追いやられていったかをちゃんと描いていたので、清少納言が彰子サロンにカチコミに来て嫌味ぶっ放すシーンなんかも、少納言には少納言のそうせざるを得ない事情があり、藤式部には藤式部で少納言を悪く書かなければいけない立場の違いがあったと視聴者にもわかりやすかった。この二人がライバル関係だったのは本人たちの資質というより仕えた人がかなり政治的に対立してたからだというのもよくわかりました。色々を経て最終回で茶飲みババア友達になってたのもサイコーでしたwww 悪友コンビ!最高です。

 

直秀/毎熊克哉

もっと出番あると思ってたら急に死んで驚いた人。私的に功名が辻の六平太みたいなポジションになるもんだとばっかり…「おかしきことこそめでたけれ」をまひろの心に刻んだ人でもあり、まひろと道長が死体埋め友になってしまった原因そのものである。まあ、一緒に死体埋めたことのある人って生涯特別な人になっちゃいますよね

 

花山天皇本郷奏多

奇行が目立つ、妻を溺愛しすぎて変なことになるエキセントリックな天皇ということで、本郷くんこーゆーのほんとウマ。笑 もしかしてキングダムの成蟜観てた人がキャスティングした??

 

藤原実資秋山竜次

誰がキャスティングしたんだよ!!笑 でも見た人全員が大好きになった実資!!何がすごいって、そうそうたる俳優陣の中、最後までこの実資だけが「人ではなくルールに従う」を常にやり続けた正義感あふれるまともな政治家であり、それをよく芸人にやらせようと思ったよな…!他の芸人やタレントキャストはわりと、本人の持ち味をいかしたような役だったと思うけど、秋山だけは真逆で、まったくボケない実直な男だったので、すげー采配。でも「秋山が真面目なこと言ってるだけでじわる」みたいな異質さがうまく機能してて、宮中の政治の駆け引きから一歩離れてる感じも出てよかったのかも。刀伊の入寇でマジで唯一政治家としてまともなこと言って怒ってるのとかほんとよかった。そして何よりも最終話。道長と行成が亡くなったことをいつものように日記にネチネチ書き記してる…と思ったら、静かに一筋の涙を流すシーンで私も号泣!みんないろいろあったけど、長い間同じ時代を共に駆け抜けた戦友だったなと思ったのでした。秋山の静の演技に泣かされるのなんやねん。

最後の方で公任のBLぶっこみシーンがありましたが(後述)、道長にとって、人ではなく決まりに従う実資は時にはやりづらい存在でもあったでしょうが、政治のことを相談するうえで最も信頼できる男だったのかもしれないね。

 

藤原公任/町田啓太

F4の中でもひときわ輝くリアル貴公子の町田啓太!!!ポロのシーンではぶっつけ本番でうまくいったなど「リアル公任じゃん」みたいな華があって、画面の平安貴族度を底上げしてくれていた。女に対してナチュラルに上から目線、道長にもつライバル心と友情。特別な美男子でもありながら、男ってこういうとこイヤよねみたいな面も結構あって、まさに”雨夜の品定め”に出てきそうな平安の男の子でした。

終盤で「俺にはそんな顔見せぬのに実資殿には見せるのだな」とか急にBLぶっぱなしてきたとこは笑いましたwww 何このじっとりしたBLすぎる台詞まわしは!!しかもこの美男子が嫉妬する相手が黒光りする太ましいおじさん大臣なの余計おもろい。

周りの人間から矢印向けられまくってる道長くんであるが、そんな道長はまひろのことしか頭にないっての意味不明すぎる。

 

藤原斉信金田哲

これも本当に誰が思いついたんだよキャスティングだったが、結果として大成功だったよねー。本人の持ち味をいかしたような、軽薄でお調子者な野心家で、でもなんか憎めない道長の幼なじみ。本人の顔が公家顔なこと、よく気づいたよなあー!自身のYoutubeで毎週感想しゃべってくれて、特に心に残った回などは楽しませてもらいました。

 

藤原行成渡辺大

途中まではF4の弟分みたいな感じで、作中抜群に字が上手い文化系男子という佇まいだったんだけど、公任や斉信に「行成は本当に道長一筋だな~」っていわれて、本人も苦笑しながらうなずくような関係性の描き方すごいと思った。途中で一条天皇&定子カップルのことも推してたし、華やかな人が好きなんだねえ。この時代、男女は基本政略結婚なんだから、同性同士にこそまじりっけのない愛情や友情が芽生えてたのかもしれない。そうじゃないのかもしれない。にしても、行成から道長への矢印の描き方はおしゃれだなーと思った。最後に道長と同じ日に亡くなるなんて、運命はすごすぎる。最終的にこの史実があることをふまえて逆算して行成のキャラクターの肉付けしてたのかなぁとか思った。

公任や斉信が、行成はまことあいつによく尽くしたよ…としみじみ語りながら夜空を見上げるところ切なかったなあ。一途すぎなことをからかってるのであって、男が男にそんなに入れ込んで~ってとこをからかってるわけじゃないってラインが絶妙。

 

安倍晴明ユースケ・サンタマリア

ユースケサンタマリアそのものは面白い人なのになんかいっつも殺人鬼とかそういう変わった役をしてるのはなんでなんだろう。。笑 この時代まだ占いや呪いが政治に影響力をもっていて、藤原家の運命に深く関わっていた不思議な人。視聴者にとっては未来を予言するメタ的なポジションでもあり、なんかずっと異質な存在感でよかった。亡くなるシーンがスーパームーンみたいになるの、最後までほんとこの世の人じゃないみたいな雰囲気ですごかった。

 

須麻流/DAIKI

私がひそかにすごいと思っているのは、キャスティングする際にNHK内で絶対なぜ彼を起用するかの理由をミーティング内ですりあわせし上層部に通したであろうに、その理由を最後まで明かさなかったことです。結果として視聴者の想像力に委ねられることになり、脚本の力もあってそれがとてもポジティブに作用したことはみなさんの知る通り。こうして視覚で見ると「たしかに安倍晴明みたいなスピリチュアルな雰囲気をまとう人のそばには、変わった見た目の人がいたかも。それが逆に安倍晴明の佇まいに説得力を持たせたのかも」ってなんとなく納得させられる感じがあるよな。安倍晴明の従者という役はたしかに誰がやってもいいわけで、健常者でもいいし女性でもいい、外国人でもいいのかも。けど、こうして成功したからそう思えるけど、キャスティングの段階でそこに辿り着いたこともすごいと思うし、実際に実現したこともすごい。非常に意味のあるキャスティングだと思いました。

 

一条天皇/塩野瑛久

大抜擢によくこたえたんじゃないでしょうか!!大河の天皇役って歌舞伎役者とかがすること多いと思うのだけど、こんなど真ん中イケメン俳優に天皇役かぁ~と思っていたら、想像以上に物語の軸となる重要人物だった!!でも実質この人が光源氏のモデルだったんだよねということで、この若き美男子の力が必要だったのねと思いました。優しくて明るくて正妻を一途に愛して、政治も公卿まかせにしない真面目な青年で。苦難の多い人生だったと思うけど、定子との愛の日々も、彰子と向き合う姿も、ほんっとプリンスそのものだった。本物の王子様の役ができる役者って意外と少ないと思う。

 

藤原彰子/見上愛

可愛すぎ。その一言につきます!!なんという令和顔。えもたす&黒木華の和風顔カップルからこんな現代顔の子供生まれるか??というのはご愛敬で…笑

このドラマ見るまで認識していなかったのだけど、大好きになりました!かわいー!まつ毛なっが!私は最初定子が高畑充希ちゃんと知ったとき、彰子には同格の女優さんをもってこないとじゃんと思ってたんですよ。全然違いました。定子に主役級の圧倒的なお姫様、彰子にルーキーをもってこないとダメだったんですね。じゃないと、一条天皇が定子ばかり愛して彰子の家に行かない…何か一条天皇の気をひく物語とかがあれば…につながらないからね。

最初の物憂げな少女のところから、立場が人を作るんだといわんばかりに堂々とした皇后になっていくまで、お見事だった。ピンクの着物も水色の着物も似合うこと!一条天皇に泣きながら思いをぶつけるところが一番よかったね~

ところで、母親や他の女房が彰子の心を開けなかったのにまひろにだけ心を見せるのはもうちょいなんかあってほしかったです。まひろ基本女の子とうまくコミュニケーションとれるタイプじゃなかったやんけ!

 

藤原伊周/三浦翔平

三浦翔平の「常に2番目の男」現象がいかんなく発揮されており…笑 かっこいい一軍男子のオーラは出てるものの最終的に負けます!みたいなね、あれがね、ほんと上手かったです。家がみるみる没落して、みっともないほどぼろぼろになるとこまで演じ切って、あ~三浦翔平のやるべき役だったなと思いました。

地味に、弟に対して一度も「お前のせいでこうなった」って責めなかったとこすごいと思った。伊周なんも悪くねーのに。。笑

 

藤原隆家竜星涼

良い役もらったねーー!!株急上昇!たいへんな当たり役だったと思います。貴族のチャラチャラした次男坊で、自分が大問題起こして家族を破滅に導いたくせに、切り替え早くて過去に執着せず、今やるべきことは何かに集中し、仕える人物を見誤らない男。人生の本質が何かをわかってる竹を割ったような性格で、後半どんどん彼のことを好きになった!特に太宰府編。それまでまひろとはっきりした面識はなかったものの、ここまでの脚本がちゃんとしてたから、まひろを客人として迎えて宮中の話などもする仲になるの、違和感なかった。刀伊の入寇まで描くと最初から決めてたんでしょうから、隆家は終盤のキーパーソンになるようによーく練られてたんだろうね。

宮中の人間関係だけに必死になってた連中と違って、そこに執着がなかった実資と隆家だけが、貴族も武力をもたないといけなくなる未来が見えてるの、うまいな~と思った。

最後にまひろのぼろい家に来て左大臣が病気だとか伝えにきてくれるのとか本当にいいやつ笑 いろいろ見透かしてるんだろうし、根は陽気な人だけど、それでも太宰府でまひろに「どれほど辛く苦しくても人生は続いていくから生きるしかない」と当時の人っぽい死生観を語る姿も違和感がなく、はっきりした性格が魅力的なキャラクターでした。

 

周明/松下洸平

ぎゃー!メロ男よ!!笑 もう周明と付き合っちゃえよー!って何回思ったことか。。それにしても、父の仕事で越前に行ってて、そこで宋人と会ってただろう、頭のいい紫式部なら宋の言葉を勉強しただろう、同じように宋人が行き来してた太宰府にまひろが向かうこともあるだろうという想像力すごい。史実と史実をつなぎ合わせて、ありえなくもないラインをうまくつなぎ、そして国際ロマンス詐欺男とのうたかたの恋が生まれたというわけです。太宰府で再会してからは、肩の力が抜けていて、まひろを見つめる眼差しがもう好き全開すぎてこっちが照れた。

 

朱仁聡/浩歌

「入り込めませんでした、あの女の心に」「お前の心からは消え去るとよいな」がいい会話だな~と思っていて、登場シーンは少なかったけど朱さんの人を見る目の確かさみたいなものが垣間見えて好きでした。ちゃんと中国語話せる役者さん連れてきてるのえらい。

 

藤原宣孝佐々木蔵之介

正直、蔵乃介おじさんの魅力をもってしてもギリキショいが勝つ近親相姦ぶりであったが…!!!!!!笑 あせあせ 家で顔合わせ飲みしてるときの惟規の「え!?なに????」っていう気まずい顔が最高に私の心情を表してました。

好きな男の妾になるくらいなら一生他人でいい、でも好きじゃない人の妾ならOKっていうのは、生きづらい女~~!とは思うものの一本筋が通っててまひろらしい。でもなんやかんやまともな恋愛経験がない女なので、一瞬で宣孝おじさんのこと好きになるんだろうなと思ってたらあっさりそうなって笑いました。人の心と体は裏腹なんだよッ…!!!

本気で好きなわけじゃないと思ってても他の女と仲良くしてたと聞いたら胸はざわつくもんなのよ。でもまひろにはこんくらい年の離れたおおらかな人が合ってたんだなってこともわかります。それこそ賢子の出生の秘密を一緒に握ってくれるような。この経験が源氏物語の執筆に大きく影響しただろうから、ほんとにまひろは根っからの作家なのよね~~!自分の身に起きた苦しいことも全部物語に昇華できるって、才能だよ。

 

双寿丸/伊藤健太郎

最初はまひろと賢子の人生をオーバーラップさせるために、道長や直秀にあたる男の子の幼なじみポジションのオリキャラを作ったのかなと思ってたけど…とんでもない、やられました。最終回の最後のシーンでまひろと対峙するのがまさか彼だったとは。”武士の時代が来る”を最後に予感させるために作られたキャラで、そのために丹念に仕込まれていた彼の出場シーンの数々…お見事でした。

 

 

 

本当に本当に毎週日曜日が楽しみなドラマで、ロスはんぱない!何度も見返したくなる宝箱のような大河ドラマでした。キャスト・スタッフのみなさんに愛をこめて!xoxo

 

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*1:真田丸でそう思いました

*2:鎌倉殿のときに北条政子の尼将軍スピーチが最後の最後でドーン!って来るのをみんなが予想してて、脚本がそれを超えてきたときみたいな

*3:八重の桜とか