ありがとう、美弥るりかさん
特に宝塚に詳しいわけでも、美弥るりかさんの熱狂的ファンというわけでもないのですが、個人的に特別な思いがあるのでエントリを書きます。
私にとって宝塚で一番思い入れのある組は月組なのですが、それは単に「初めて観たのが月組だから」という理由です。厳密にいうと子供のとき親に連れられ別の組を観たこともあるのですが、大人になってはっきり自分の意思で「宝塚を観てみたい!」と思って観劇したのが、たまたま自分の住んでいる地方に公演に来た月組でした。
初めて観た月組は珠城りょうさん・愛希れいかさん体制に轟悠さんを加えた『長崎しぐれ坂』で、きっとそのときから美弥さんもいたんだろうけど… すみません!このトップ3人と顔がかっこいい朝美絢さんのことしか記憶にありません(おい!)。しかしそこで珠城りょうさんの圧倒的なスターオーラと包容力に魅せられて、宝塚すてき〜と思ったことを覚えています。その頃は宝塚に何組もあることとかも知らなかったし、トップスター以外の人の見分け方もわからなかった。それくらいなんにも知りませんでした。
その後、時はだいぶ流れ、東宝1789を観劇したあと、ヅカオタの姉を持つ友人から宝塚版1789の円盤を借りることができ、観劇。
その当時、TwitterのTLから「すごい人気の美形スターがいる」ということはおぼろげ感じ取っていたのですが、1789鑑賞後、明確に美弥るりかさんのことを認知しました。たしかに…これは…人気出るに決まってる!!!アルトワ伯というキャラクターが、細身で中性的な美貌のスターである美弥さんにとって当たり役だったであろうことは素人ながらにもわかり、ソロ曲『私は神だ』のあまりの美しさにひれふするしかありませんでした。
ついでにいうと初めて宝塚の「フィナーレ」というものを観て(長崎しぐれ坂でもあったのかな??全然覚えていない…)、あんな悪役だった美弥るりかさんが王子様みたいな格好でひとり舞台に出てきたので、え?????って思いました。何かの特典映像が始まったのかな??って本気で思ったんですけど、いろいろ調べてたら、宝塚は劇パートが終わったらショーパートが始まるんだそう(場合によるのかも?)で、そこでみんな王子様みたいになって(?)歌って踊ってくれるサイコーのシステムなんだそうです。そこでも美弥さんのキラキラ王子様っぷりに目を奪われ、わ〜〜〜!!なんかよくわからんけどめちゃくちゃ輝いとる〜〜〜!!って思ってたら、最後またアルトワ伯になって「私は神と同じだアポロンだ 私が語る言葉は天の声」と美しく力強く伸びやかに歌ってくださり、目も耳も幸福で、ここだけ何回も繰り返して観ました。元々ストーリーを知っている演目だったおかげで、これを通して5人くらいのタカラジェンヌさんを認識することができるようになり、ここからいろいろ調べていくうちに、宝塚には「番手」があるということがわかってきました。
いわく、トップスターの次に目立つ人は「2番手」、その次は「3番手」…で、4〜5番目くらいまでは決まっていて(多分)、娘役さんにはこの番手システムはないもようです(多分)。普通のドラマや演劇は、キャラや雰囲気に合う役者をキャステイングしていくと思うんですけど、宝塚は何があろうと主役はトップスターで、その次にセリフが多い役は2番手…という決め方をするという、世にも珍しい配役システムだったのです!!!(今となっては当たり前に思えるけど、当時はまあまあ衝撃だった。)
そして1789のときは3番手だった美弥さんが、現在2番手にあがっていること、しかしそれは1789のとき4番手だった珠城さんが大抜擢でトップになったからだ、という、少々複雑っぽい事情も知ることになります。何があったのかとかは全然知らないんですけど、調べれば調べるほど「美弥さんはマジで人気」ということもわかってきて、次は美弥さんがトップになるのかしら〜と思ったりしたのでした。
私が個人的に美弥さんに一番感謝しているのは『エリザベート』を観たからです。
『エリザベート』というミュージカルは、地方にも公演に来るくらいの代表的なミュージカルで、地方在住だった子供の頃から東宝版を何回か観劇したことがありました。歌も好き、衣装も好き、世界観も好きで、だからこそ自分が好きな月組がエリザベートをやるとわかったときは嬉しかったです。ライブビューイングで鑑賞したのですが、珠城さんもちゃぴさんも本当に美しくてすごかった。
で、今まで何度も観たエリザベートなのに、初めての感想を持ちました。生まれて初めてフランツに感情移入している自分に気づいたのです。美弥さんとちゃぴさんの『夜のボート』の切なさを今でも覚えています。
「あまりに 多くを望みすぎるよ」
「少なすぎるわ」
「人生のゴールは寄り添いたい」
「2つのゴールよ」
「「一度私の目で見てくれたら あなたの誤解も解けるでしょう…」」
私は子どものときにエリザベートを観てからずっと、「私もトート閣下に愛されたい!」「ゾフィーみたいなお義母さんいやだな」「世の中は制約だらけだから、世の女性はシシィの『私の命は私のもの』という咆哮に共感するんだわ」とか思っていて、そういう感想のひとつに、「フランツはマザコンで自分勝手すぎる」というものがありました。「嫁と母親が喧嘩してるときに母親の肩を持つなよ!!!」とずっとむかついていて、トートとフランツを比べたら圧倒的にトートがかっこいいと思っていました(今でもトートの方が好き)。
ですが初めて観た宝塚版エリザベートで、「フランツも孤独」というのが痛いほど伝わってきて、だから『夜のボート』があんまりにも切なくてつらかった。このミュージカルは全体を通してシシィの孤独の物語なんだけど、生まれて初めてフランツの複雑な立場や、シシィを心から好きで愛していることなんかも、本当の意味でわかった気がして、それは美弥さんの芝居のうまさのおかげだなとしみじみ思いました。そしてこれはきっと「女性が男役を演じる宝塚だから」なんだとわかってハッとしました。フランツのマザコン感って、男性が演じていると「ほんとこういう男ヤダ」に帰結してしまうんだけど、女性がそれを演じていると「シシィのことは愛しているんだけど色々とうまくできなくて心がすれ違う」というやりきれなさに昇華されるような気がして、なんだか宝塚の凄さを思い知ったような気がしました。”女性が理想だと思う男性像”を女性が演じる世界、それが宝塚で、マザコンに見えていた男も「ヒロインのことを愛している、が根底にある」とびしばし伝わってきて、同じ演目なのに見方が変わる感覚がおもしろかった。最後にフランツがトートに「お前は、エリザベートから愛を拒絶されるのを恐れているだけだ!」と突きつけるセリフがあるのですが、そこのフランツがよすぎて、生まれて初めて「エリザベートは三角関係の話なんだ!!」と思ったのでした。東宝版だとフランツのこと、トートとエリザベートの愛の前に太刀打ちできない弱キャラだと思ってたから…笑
エリザベートの終盤のトートとフランツの直接対決のシーン、めちゃめちゃ好き
— チャイ緒🌈✨ (@aonticxx) December 11, 2018
宝塚で「お前は彼女から愛を拒絶されることを恐れているだけだ」ってフランツが突きつけるのもよかったし、帝劇の歌だと「我が妻だ!」って歌詞あるじゃん、あれも好き~
そういう、宝塚の醍醐味、男役の凄さを教えてくれたのが美弥るりかさんでした。宝塚でエリザベートを観ることができて本当によかったし、少女漫画脳の私を宝塚の世界観にめろめろにさせたのもきっと美弥るりかさんのフランツだったと思います。
退団公演『夢幻無双』『クルンテープ 天使の都』はライビュで観劇しました。最初に佐々木小次郎が現れるシーン、美しすぎて妖精かと思った。
クルンテープでは珠城さんと二人のデュエットがあり… ”私たちの関係は私たちにしかわからない”、その言葉がすべてだと本当に思って、いろいろ読み解きたくなったり、想像したくなったりするけど、理解されるのを拒んだ美弥さんの気持ちを尊重したいと私は思って、この美しさと優しさと深い愛を、ただただ目に焼きつけようと思った。
グラフの美弥るりか氏の「私たちの関係は私たちにしか分からない」って言葉、重いよねえ…深いよねえ…
— mee@腑抜け (@POTO_TRMRTK) May 20, 2019
私たちの関係は私たちにしか分からないと思う
— *。☆山西(tranta)*。☆ (@tranta_) May 26, 2019
何の書籍の帯コピーなんだよ…… というヤバ攻撃力の一言がさらっと美弥さんのインタビュー中に出てくるグラフ6月号 インタビュアーに向かって(ひいては読者に向かって)、珠城さんとの関係を理解されることを拒んでいる、この……何?!
『長崎しぐれ坂』を観劇してから約2年、その間にちょこちょこ他の組も覗き見したけど、どこの組のトップと2番手も、珠城さんと美弥さんのような関係性ではないのだなぁとにわかながらに思った。珠城さんと美弥さんは、大抜擢の後輩&大器晩成型の先輩であり、大柄&細身であり、王道をいく一本気&個性派なゆるかわであり、いろいろと真逆のふたりで、そんなふたりが真ん中に立つ月組は本当に魅力的で素敵だったな、と思った。宝塚の番手システムは面白いし、番手がついていたからこそ美弥さんのことを知れたけど、ジャニヲタ村出身の私には、この二人は違う場所でステージに立ってたらシンメ的な関係だったかもな……ってなんとなく思った。けど、宝塚のスター序列システムに立ったからこそ輝いた二人だと思うから、全部くだらない空想。
美弥るりかさん本当に美しくて、ウインクする姿はキメキメで、ふわふわ喋るところはかわいくて、あ~ほんとにこのひとは、宝塚の男役だから好きになったひとだけど、宝塚のスター序列システムじゃ価値なんてはかれない本当に唯一無二のスターだったって思ったのだった ご卒業おめでとうございます!!
— チャイ緒🌈✨ (@aonticxx) June 9, 2019
美弥るりかさんと珠城りょうさん、見た目もキャリアもキャラクターも何もかも真逆の後輩トップ先輩2番手というすごい二人組だったけど、本人たちにしかわからない苦労も気持ちもたくさんあっただろうけど、2人が真ん中に立つ月組の美しさを私は絶対に忘れない
— チャイ緒🌈✨ (@aonticxx) June 9, 2019
るりたまってお姉ちゃんと弟みたいだな~って思いながら見てた
— チャイ緒🌈✨ (@aonticxx) June 10, 2019
月組公演@東京宝塚劇場
— マスター (@star_1600_1868) June 8, 2019
2016.6.9 千秋楽
美弥るりかさん
『今日一日皆さまに感謝気持ちを込めて舞台を務めたいと思います』
千秋楽おめでとうございます!
素晴らしい一日となりますように… pic.twitter.com/xHOKIeuf9I
美弥るりかさん白い服すてき!!
— チャイ緒🌈✨ (@aonticxx) June 10, 2019
王子様というより天使に見える
最初に観た月組が珠城りょうさん・愛希れいかさん・美弥るりかさん体制の月組だったから、私の思う月組はここで一旦新章突入だと思った。珠城さんのことを好きだからこれからも月組を観たいけれど、美弥さんのいない月組が私には想像できないな。
美弥るりかさんは私が初めて「トップスター以外で認知したタカラジェンヌ」だし、「この人がトップになるかも、なってほしい」という気持ちで宝塚を観劇し始めるきっかけになったひとだった。だからトップにならずに卒業すると決まったときは、正直、複雑な気持ちになったと思う。けど、退団公演の美弥さんの完成された美しさを観ながら、宝塚のスター序列システムのパワーを反射して輝いたひとだと思いながらも、順番なんて無力に思えるほど本当に唯一無二のスターだったと心の底から思った。真ん中に立っていても、真ん中にいる人の横に立っていても、もしかしたらたくさんの人ごみにまぎれていても、美弥さんを好きな人は美弥さんを見つけられる、美弥さんの個性的な美しさは誰かと比較なんてしなくても輝きを放つということを、美弥さんは板の上で証明してくれて、本当にすごいスターだったんだなあと思った。
月組公演@東京宝塚劇場
— マスター (@star_1600_1868) June 9, 2019
2019.6.9 千秋楽 出
美弥るりかさん
本当に唯一無二の男役さんだったかと…
男役美弥るりかに出会えたことを幸せに思います。
ご卒業おめでとうございます! pic.twitter.com/O9IlA2XKDw
美弥るりかさん、長い長い宝塚人生、おつかれさまでした。宝塚の男役だからすきになったひとだけど、今後どういった人生を歩もうときっとあなたのことをずっとすきだし、応援します!すてきな時間を、愛を、ありがとうございました。
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