2NE1というK−POPアイドルが解散しました。4人組のガールズグループで、日本語でも歌を出していたので名前くらいは知っているひとも多いかも。それでも「あ〜なんかいたねそんなひとたち……」くらいのひとが多いと思います。彼女たちは日本であまり売れなかったから。タイミングや、売り方の問題もあっただろうし、正直日本デビューしたとき私もそんなに知らなかったのでそのことについてはあまり述べません。ただ、私はこのガールズグループのことがとても好きで、解散してしまうのが本当に悲しかった。なぜなら彼女たちは「徹底的に女の子の味方」であり、そのコンセプトで世界中で売れた、正真正銘の「ガールズグループの歴史を変えた4人」だったのです。
これは、解散する前に、メンバーのひとりミンジが脱退したときのニュースタイトル。惜しみなく「ガールズグループの歴史を変えた4人」というタイトルをつけられる、唯一無二の女の子たちだったなあ……と、おもった。
女性歌手といえば、「君に会いたいよ〜♪」とか「こんなに好きなのになぜきみはあの子が好きなの〜♪」とか、そんな歌ばっかりだ。特に日本とか、アジアでは。レディー・ガガや、マドンナや、ビヨンセのような歌を歌う女性はなかなかいない。まだまだそういう国なのだろうし、普段はそれを意識したことすらなかったんだけど、ある日私はそんな歌じゃがまんできないときがきました。
失恋したのです。
とても好きなひとに元旦に振られるという大事件を起こした私は、世間はお正月モードで浮かれきっている中、思考がフリーズし、「泣くな〜〜〜!!!わたし〜〜〜!!!」と自分の顔を自分で叩いて励ましながら生活しなければならなくなりました。今思えばよくあるしょうもない話なのですが、当時のわたしとしては前代未聞の大事件で、あまりの悲しさに振られたあと3日間の記憶がありません。
なんとか自分を励ますために、「失恋ソング」とかで検索をかけまくっていたわたしは、ここで初めて2NE1の音楽ときちんと出会うことになります。
「HATE YOU……?なにこれ......」
タイトルから、どうせ「あなたのこと嫌いになりたいのに〜なれない〜どうして〜♪」みたいな歌かなと思っていた私は度肝を抜かれました。
♪ You are so 情けない マジであり得ない
オマエなんかこの世にいらない
ナ ナ ナ 情けない You are so 情けない
だから触らないでよ、キモイから
すごい歌だーーーーー!!!!!!
いや正直、この日本語歌詞どないやねん!?とか、普通の状態で見たら歌詞くそやな!!とか思ってしまうと思うんですけど、当時の私は人生最大の大失恋をしたばかり。メチャクチャな失恋を経験したことのある方は共感してもらえるかもしれないんですが、そういうときって「それでもまだアナタが好きなの〜♪」とかいう歌、傷つくだけなんですよね……。いやそれでもまだ好きなところで状況はなに一つ変わらんし……みたいな。そういう心理状態の人間が相手に望むことはただ一つ、できるだけ苦しんで死ねということだけなのです。
だから、2NE1のこの歌、私の気持ちを代弁してくれている……!!と思って、めちゃくちゃ嬉しかった。かっこよくてファッショナブルな女の子たちが「アンタってほんと情けない、マジでありえない、キモイんだけど!!」と歌ってくれることが、当時の私の心をものすごく救済してくれた。もちろん当時の私は未練タラタラで、まだ好きでまだ会いたくてまだ連絡がほしかったんだけど、それがもう無理なこともなんとなくわかってはいて、そんな自分の甘ったれた気持ちを断ち切るように「触らないでよキモイから!!」と彼女たちが歌ってくれたので、「そ……そう、もう会いたくない!!!!!会いたくないぞ!!!!!!!!!!!」と奮起することができたのでした。
それからこれもめちゃくちゃ聴いたな……。
彼氏と別れた女の子の歌なんだけど、歌詞がとにかく全部最高なんです!!
「ホントなら一発殴ってやりたい でも会いたくもない」
「私から出て行って最速で忘れよう 自由になっただけ」
「悲しいわけじゃなくてただムカつくの」
「やれることはした もう後悔しない」
「友達呼び出して派手な服に着替え 思いっきり笑って全部忘れちゃうし!」
最高〜〜〜!!!!!
失恋したのにこんなに強気な歌!!最高じゃないでしょうか!?そしてガチで失恋した女の子はこんくらいオラオラな気持ちになれないと立ち直れないのでは……と思うのです。そんな女の子の気持ちに寄り添ってくれる、そう、サイコーの女友達を得た気分!!
ちなみにこの「Go away」、長尺のドラマ版MVもめちゃくちゃサイコーです。自分を振ってきたダメンズ彼氏を、最終的に爆死させるというすごい内容。
他の女性アイドルには絶対できんわ……。
これを入り口に2NE1を知ったのですが、他の曲もことごとく「強い女性」がテーマ。他の女性アイドルにはない「強い女性像」をめちゃくちゃスタイリッシュに表現したものばかりで、ファッションも音楽性も尖っていて、4人は個性的でチャーミングで仲が良く、見た目と裏腹に真面目な女の子たちで、日本ではあんまり売れなかったけど、世界中でヒットしていることを知りました。
私は日本の女性アイドルの多くが、男性に媚びることで売れたり、男性に順位付けられたりするのが、そういうビジネスなのだとしても好きになれなくて辟易していたので、そんな中、このコンセプトで打ち出して、そしてきちんと「売れた」ことが、彼女たちの凄さの証明だなと思いました。そして彼女たちが日本で売れなかったことは、ある意味「こういう女性像が支持されていないことの表れ」だなと思ったりもしました。もちろん売り方の下手さとか、上にも書いた日本語歌詞の下手さとか、他のK-POPアイドルとセット売りしようとしたのがそもそものミスとか、いろいろあるとは思うんですけどね……。
アルバムを借りて、他の曲も聴いて、SNSを見て。カムバックする!なんてニュースも出て。日本でツアーあるときは絶対行こう!と胸を高鳴らせていたのですが、私が好きになったあと、とうとう彼女たちのライブが行われることはありませんでした。
2016年4月。メンバーのひとり、グループの末っ子ミンジが脱退を表明。
私は「4人」の2NE1が好きだったのでとてもショックでした。ミンジはダンスの申し子で中心メンバーだし、何より2NE1の支柱であるCLととても仲良し。4人のバランスのよさが2NE1なのに……!!
そして11月、3人でカムバックすることはできず、解散が発表されました。
【速報】YG「2NE1解散」「WINNER ナム・テヒョンの脱退」を電撃発表 https://t.co/BiPBUi7M3e pic.twitter.com/1eZMBIii36
— Kstyle (@Kstyle_news) 2016年11月25日
2NE1解散?!むり悲しすぎる、まだ会社なのに泣いてる
— オランピア オ タン (@Olymipiaotan) 2016年11月25日
2NE1の素晴らしさをもっともっといろんな女の子に知ってほしかった、世の中にはこんなに強くて優しくてかっこいいスーパーガールズグループがあったんですよ
— オランピア オ タン (@Olymipiaotan) 2016年11月25日
CL、ボム、ダラ、ミンジ、みんなの幸せを心から祈ります、たくさんの光を見せてくれてありがとう、心底辛かったとき4人の歌に救われたこと忘れません、徹底的に女の子の味方なガールズグループが世の中にあったことは、それだけでもう世界中の女の子の希望だったんです #ThankYou2NE1
— オランピア オ タン (@Olymipiaotan) 2016年11月25日
4人の才能を愛していました、世の中に2NE1というスーパーガールズグループがいたことを忘れません、本当に大好きで憧れる女の子像でした、ああLOVE IS OUCHを流したいけど聴いたらきっと泣いてしまう……とてもさみしい……お別れはさみしいね #ThankYou2NE1
— オランピア オ タン (@Olymipiaotan) 2016年11月25日
This may be the end of their journey as a group. But no one can ever deny that 2NE1 WILL ALWAYS BE LEGENDARY 🙏 #ThankYou2NE1 pic.twitter.com/UBW18n6PCM
— G-irlfrien-D (@gel2411) 2016年11月25日
legends will remain legends. fourever queens~✨
— iyey 👅 (@baekhoenee) 2016年11月25日
CL
BOM
MINZY
DARA
2NE1 NOW SIGNING OFF (2009-2016) #ThankYou2NE1 pic.twitter.com/EE7r8RUVWS
この「伝説は伝説として残る」という言葉がやけに胸に刺さった。そうだな、彼女たちは永遠の伝説になったんだよな……だけど、
失われていくことの圧倒的なさみしさ
— オランピア オ タン (@Olymipiaotan) 2016年11月25日
2NE1のことが本当にすきだった
— オランピア オ タン (@Olymipiaotan) 2016年11月25日
何がだめだったんだろう。何がうまくいかなかったんだろう。ちょうど日本ではアイドルのパイオニアだったSMAPが終わりに向かって突き進んでいた。おんなじだ、とぼんやりと思った。どれだけ偉大なグループでも、決定的な何かがあったわけじゃなくても、終わってしまうときは終わってしまう。誰にも止めることができなくて、ただただみんなが悲しい。圧倒的な喪失感だった。
なんかさあ…2NE1もSMAPもいっしょだな、どれだけ売れてても、メンバーたちが仲が悪いわけでも、目立って大きな大問題が起こったわけでもないのに、それでも解散するってなったらその流れは止められないんだな…悲しい
— オランピア オ タン (@Olymipiaotan) 2017年1月24日
私が2NE1を好きになったときには彼女たちはすでに活動休止状態で、生で彼女たちの姿を見ることも、なんならライブとかグッズとかにお金を落とすこともできないままで、こんなんでファンと名乗っていいのか!?みたいな状態で、終わってしまった。歴史をクラッシュした偉大な女の子たちなのに、あまりにも寂しい幕引きだった。
あとにもさきにも、私が「この音楽に支えられた」と思ったことがあるのは、2NE1だけだ。
最後に2NE1は、ファンにお別れの歌を用意してくれた。
今までのPVを組み込んだ白黒の映像、アコースティックなメロディー。すでに1,300万回以上再生されている。
PVの中にはミンジもいる。よかった、なかったことにされてなくて。2NE1は、終わるときには4人でと思ってくれた、のかも。
※日本語訳はこちら
メンバーそれぞれが言及してくれているのだけど、私に韓国語がわかればなあ……!
この歌、解散のことだけを言っているわけではない……!?と思って調べたら、やっぱり、元は3人で活動を再開する予定でいて、そのときにCLがミンジに宛てて書いた歌だったそうだ。それをファンへのメッセージにもとれるように作り直したのだと。
とてもとても大変だったのだろう。
CL、ボム、ダラ、ミンジ、今まで本当にありがとう。歌手になってくれて、グループを結成してくれてありがとう。多国籍な背景をもって、世界中に飛び出してくれてありがとう。女の子が自分で自分の人生を切り開く姿を見せてくれてありがとう。唯一無二などころか、頂点に立ち続ける姿、本当に憧れだったし、何度も背中を押してもらえた。人生のとてもつらかった一瞬に寄り添ってくれてありがとう。あなたたちのことをみているとき、同時に希望そのものをみていたんだなと思う。どうか幸せでいてください、途方もなく遠いところに行ってしまっても、自分の人生を自分で選んで、そして、とびきり幸福に生きてください。
そして、いつかまた。
CLがどれだけミンジを大切に思ってたか、2NE1を好きだったかがひしひしと伝わってくる…永遠のお別れじゃないよね、CL自身が「いつか戻ってくるときのため」と言ってくれてるんだもん…それがほとんど祈りに近い言葉だったとしても私は信じます
— オランピア オ タン (@Olymipiaotan) 2017年1月24日
それが遠い遠い未来だとしても、きっとまたどこかで。
2NE1のお別れソングで、いちばん好きな「LOVE IS OUCH」という歌がある。これは恋の終わりを歌った歌なんだけど、歌詞がすごくよくて、彼女たちの解散を知った日はずっとこの曲を聴いていた。
行こう 歩き出そう それぞれの明日の場所へ
さよならも愛の続きよ これからの二人のため
ありがとう 大好きだった 一緒にすごしたあの日々が
私たちを送り出してくれる 次の季節へ
「さよならも愛の続きよ」…きっとそうだよね、2NE1が解散しても、私は、4人のことを忘れないし、4人は伝説として語り継がれて、あなたたちのことを大好きだった記憶をあたためながら、明日からも生きていくんです。落ち込んだ日にはまた、あなたたちの音楽を聴いて、勇気をもらって。そして次の季節へ。
たくさんの光を見せてくれてありがとう。