宙組の『アナスタシア』を観てきました!最初に書いておくけど、今年観た全エンタメの中でベストです!!!本当に全部が好きすぎて胸がくるしい…涙が止まらない…
2020年は東急シアターオーブでも宝塚でもアナスタシアやるで!ってのは知っていたのですが、全然興味なくてスルーしていた。たまたま関西旅行で空き時間ができるので、どうせなら人生で一度行ってみたかった宝塚大劇場に行ってみたいな〜からの、今やってるの宙組さんなんだ、まあ宙組全然知らんし演目もようわからんけどなんでもいっか!くらいの気持ちでチケットをとったら…衝撃の大誤算だった…
1幕終わった時点で、一緒に観てた友達と顔を見合わせて「いや、面白!?!?!」と叫びました。
もうとにかくめちゃくちゃおもしろいんです!!!
前情報0で行ったからあとで調べて知ったんですけど、ブロードウェイの輸入ミュージカルとのことで、「だからか…!!」と思いました。なんかもう、脚本も演出も音楽もスケール違いすぎる。ミュージカルって、ただ歌って喋っての繰り返しじゃなくて”舞台芸術”なんだなあ…ということをしみじみ感じました。よく練られたロマンティックな脚本、そしてそれを”表現”するための様々な演出の工夫、そしてストーリーを盛り上げる、どこかディズニーみたいな雰囲気もある耳に残るドラマティックなメロディ…全部がきれいに組み合わさって、「これがミュージカルなんや!!」とビシバシ伝わってきて本当に感動しました…。
ミュージカルを仕事にする人なら、こんな演目に携われるの本当にうれしかっただろうなあ、と思ってしまいます。もはや、「この演目やれた宙組生の人たち、嬉しかっただろうな」と、謎に演者側に感情移入。
宝塚観た感想として正しいかはわかんないんですけど、「劇団四季みたいで面白い」って思いました。いわく、演者を誰も知らなくても、前知識0で観ても面白い。学生が修学旅行で観ても絶対面白い。
どっちがいいとかではなく……なんか、普段私が宝塚に感じているときめきポイントとは結構違うところで感動しつつ、宝塚らしい豪華な衣装、キラキラ感、ロマンティックなラブストーリーまで堪能できて一石二鳥みたいな…(?)
あと私はそもそもディズニーオタクでもあるので、アナスタシアは元々がFOXの制作した長編アニメーション映画とはいえ、作った人がディズニー出身ということもあり、多大にその影響も感じられたり…でもブロードウェイ作品になることで歴史モノとしての骨子もきちんとある作りになっていて、全部が全部ほんとうにすごかったなあ、と思います。お見事すぎました。オーブ版も観たかった…再演に期待します。
印象的だったシーンと音楽
まずもう、冒頭の、少女アナスタシアとおばあさまがベッドでオルゴールに合わせOnce Upon a Decemberを歌うシーンから、絵本の1シーンのような美しさなんですけど、私が最初に釘付けになったのは、ロシア皇室の舞踏会での写真のシーンです。
よくミュージカルで見るフランス王室ものとは確かに違う、ロシア皇室の衣装やセットの美しさや独特の寒さに胸をときめかせるものの、みんながにこにこ踊っているのになぜか不穏な空気がつきまとう。アナスタシアの弟が転んで…みんなで写真を撮って…3枚目の写真のシャッター音が革命の弾丸の音と重なる、なんて、凄すぎて本当にびっくりした…一瞬で心臓を貫かれました。「ロシア皇室は革命に倒れて一家全員が殺された」ってことを、こんな表現で表せるんだ…!!ってことに感動。
そして『A Rumor in St.Petersburg』、本当に大好き!!私はそもそも、「アンサンブルみんなが歌で状況説明を一気にしてくれるミュージカルソング萌え」があるので、この歌ドンピシャでした…。美女と野獣の”Belle”とか、そういうやつ。ぎゅうぎゅうづめ〜♩
『In My Dream』で、星風さんの歌のうまさに聞き惚れる。歌の上手い方という噂は聞いたことあったけど、納得の上手さだった!アーニャは歌がうまくないとできない役だと思うので、星風さんがトップ娘役でよかったなあ。「誰だってつらい人生よ」「誰だって自分じゃない誰かになりたいって思う」などのセリフが結構印象的で好きです。(余談だけどディズニープリンセスにも結構「私の本当の居場所はここじゃないどこかにあるはず」系のテーマを持つ女の子は多いですよね、ベルやラプンツェル、モアナなど… 普遍的なテーマなんでしょうね)
初めてディミトリにオルゴールを渡されるシーンで、ロシア皇室の人たちと踊り出すシーンの幻想的な美しさ…。なんかこう、ハプスブルク家とフランス王室以外の、悲劇の王室を見る機会があんまりないのでずっとどきどきしていた。
こんな曲もあるのが奥深さだなあ、と思うのが『Stay,I Pray You』。そもそも、汽車に乗るシーンをどう表現するんだろう、街の風景みたいに映像で流すのかな?と思いながら観ていたら、がっつり駅のセットに、汽車の舞台装置まで出てきてスゴー!!と思った。作り込みが…すごい!!
(余談なんですけど最近鬼滅の映画見て、この無限列車編、「列車の中」っていう舞台設定がそもそも萌えるって話を友達としてて、なんかよくわかんないけど、”ここではないどこかに連れていってくれる閉鎖空間”、という舞台装置としての”列車”に私はときめきがあるみたい。絶対ハリー・ポッターのせいだ…)
2幕から登場するリリーさんのLand of Yesterdayは圧巻!!私、本当に宙組さんのことを全然知らず、配役も見ずに行ったので、「宙組、こんなに迫力あって歌が激うまな娘役さんいるんだ!!誰!?次のトップ娘役の人とかかな!?!?!」とスーパーニワカ感想をぺちゃくちゃ友達と喋りながら帰路についてしまったので、近くで聞いていた人は大層やきもきしていたことでしょう!!笑 私は宝塚が好きだけど詳しくはないのだ。あとから、和希そらさんという男役スターさんが今回女性役を務めていたのだと知りました。ど、どおりであの存在感…!というか、だから階段下りもしてたんですね…。(花組のCASANOVAのちなつさんのときも思ったけど、番手上の方の男役さんが、こういう、めちゃくちゃ迫力ある女性役を完璧にこなしてるの、言葉にできないドキドキ感がある…あとお得感もある…)
リリーなんて、エリザベートでいうマダム・ヴォルフ的なポジションでさらに出番がその10倍ある感じなので、ほんとおいしい役だし、この役みんなやりたいよな…なんて思っちゃった。ロシアのことをLand of Yesterday(過去の国)とか言っちゃうオシャレな歌詞。後ろ向き自虐をいう高潔なロシア人たちらしさが最高です。このシーン、衣装の雰囲気はロシア民族の情緒があり、踊りもちょっと民族舞踊っぽい(コサックダンスするときの腕の組み方かな?と思ったりした)のとかほんとにときめく!!
公式インスタにLand of Yesterdayの写真あがってた〜!(2枚目)ほんときれい…
オーブ版、堀内敬子さん観たかったな…
このあと、アーニャとディミトリがまさかの、幼少期に会ったことがあるというTHE王道少女漫画設定が明かされるのですが、も〜〜〜!!!そんなことする〜〜〜!?!?!?!と叫びたくなった。ロマンティックすぎる!!!マジ泣き。ディミトリが幼い頃たった一度だけ会った、心を奪われた女の子の記憶と、その話を聞いたアーニャが、徐々に思い出していく断片的な記憶が、デュエットソングで折り重なる美しさ。「私が微笑んだら彼はおじぎをした…」「俺、それは言ってない…」「でも私、覚えてる…!」ああ本当にいいシーンだなあ…運命の恋だなあ…!!お姫様と少年が、時を超えて巡り合う…ロマンだね…。
(ちなみに原作だとディミトリは王宮で働いてた少年でアナスタシアを逃がした張本人であり、だからオルゴールを持っていたことになっている。。そっちの設定の方がすきかも!!)
メインキャストがバレエ鑑賞するシーンで実際に白鳥の湖をバレエで踊るっていう構図がすごい『Quartet at the Ballet』。いろんな人の視線と想いが交差してどんどん盛り上がっていくかっこいい音楽!
マリア皇太后とアナスタシアが部屋の中で二人で問答するシーンは涙なしには見れなかったです。「私の家族に起こったことをあなたに説明される必要はありません」「大事なものを一瞬で奪われたの」「本当のさようならになるなんて、私たちにはわからないのよ」…畳み掛けるようにマリアがディミトリやアーニャに投げかける言葉が、つらくて、つらくて…。マリア皇太后はお茶目さもありつつ、彼女のプライドや痛み、そして底無しの孤独もすごーく伝わってきて、魅力的なキャラクターで大好きでした。
とにかくずっと大好きのツボを押されまくってた私が、最後の最後に「どわ〜〜〜!!」ってなったのが、アナスタシアは最後、いなくなるというエンディングを迎えることです。
ディミトリとくっつくだろうとは思っていたけど、まさか、再会できたおばあさまと離れ、「二度と戻らない」という決断をさせるとは思わなかった…けど、全部納得できる作りになっていた。マリア皇太后とグレブが交互に「この歴史のゲームには決着がつきました」「アナスタシアは人々の願望が生み出したお伽話だ、軍はこれ以上夢物語に付き合う時間はない」という言葉で消息をうやむやにすること。ここで私は、「あ、アナスタシア、本当に史実を基に作った話なんだ」と本当の意味で実感したのでした。
世界史の知識皆無なので、観劇後にWikipediaを見たりしたんだけど、3人の姉と弟がいて、本当に生存説が根強く囁かれていたお姫様であることを知る。マリア皇太后は、息子一家処刑後、本当に一人だけ生き残ったことも。
私はこういう、史実と史実をうまくつないで「あったかもしれない歴史」「いたかもしれないひと」を上手に描き出す歴史物の作品が大好きなので、史実上アナスタシアは殺されたけど、長い間、死の確固たる証拠が見つかっていなく、彼女の祖母は生き残り、生存説の囁かれる孫娘という都市伝説を耳にしていたであろうこと…から、こんなに美しい物語をつむげるなんて、とものすごく感動した。だからこうやって、みんなの目の前から姿を消す終わりだったこと、でも、愛する人と二人でどこかで静かに暮らしたかもしれないね…という、観客に歴史のロマンを残すハッピーエンドなのも本当によかった。
最後のディミトリのセリフが「俺は自分を愛してくれない人を、想い続けることは、できないから…」なのもよすぎてグッときました。流れ的に一生君を想い続けるよ、って言うかと思っていたので、そーーーくるのおおおお!!!と思ったというか。こういうとこがディミトリのかっこよさですよねー。
そういうプリンセスが本当にいたのかも。歴史の間に飲み込まれた真実があるのかも。という、想像の予知を残してくれる美しい終わりが本当に素晴らしかった!!
キャスト別感想
1回だけ観たことある宙組では、演目がnot for meすぎて誰の良さも輝きもわからないままだったのですが、ようやく5人くらい判別できるようになった!!
真風さん、背が高くてめちゃくちゃナチュラルにかっこよかった。ちょっとした仕草や表情の作り方が男役のプロすぎて、冒頭の『A Rumor in St.Petersburg』でシッて人差し指で”静かに!”ってする振りや、誰かが話してるときに(なんか言ってら〜)みたいなにやにや顔するのとか、「王子様ではない男の子」のかっこよさが一挙一動に表れてて素敵だったなあ…!星風さんがヒールの靴履いていても身長差があるの、シンプルにすごい。この世に、男役という職業があって、彼女がそこに応募してくれてよかったなあ…としみじみしてしまった。
なんか結構、落ち着いた佇まいが魅力のスターさんなのかなって思いながら観ていたら、最後のショーパートで、バチンッ☆て音がしそうなくらいの特大ウインクかましてくれてギャップに死亡。
星風さんは本当に歌が上手!!アーニャは歌がうまくないとできない役だったと思うのでぴったりだったな…。掃除婦もお姫様もできるのすごいね。ものすごい童顔なので可愛い系のひとなのかなと勝手に思ってたんですけど、結構声低いしハキハキ喋る感じなので、アーニャの強くて知性のあるプリンセス感にぴったりだったと思いました。
(余談だけどまあやちゃんでも観てみたいなアーニャ…退団後やってくれないかな)
芹香さんは顔が小さく足が長いので軍服が似合いすぎでした!!塩顔で端正なお顔立ちのひと。アドリブもお見事すぎて笑ってしまったよ。
あと、桜木みなとさんは本編ではずっと三枚目の髭のおじさんなので、ショーでいきなり金髪のアシメヘアを流しながらキラッキラにキザに踊りまくってて脳がバグりました。えっ、普段はかっこいい系の人なの…??私には何もわからない…!!
今回認識した和希そらさん、フィナーレショーでも娘役として踊っててどきどきした!リリーは本当に当たり役だったのではないでしょうか?次に見るときは男役なのかなあ…わくわくすぎる…。
あと、アンサンブルの中でも表情豊かで目立つ人がいるなーってずっと思ってたら、その方がエトワールだった。花音舞さん。上手い人って群衆の中にいても目に留まるんだなーって思うなどした。
物語の終盤はただただ寿さんのマリア皇太后が圧巻で、この人なしにはこの作品は成立しなかっただろうなあと何度も何度も思いました。宝塚に組長制度があって本当によかった…(?)。マリアはミュージカル女優としてキャリアを積む人ならみんなやりたい役だろうし、寿さんが宙組にいて、この役に巡り合ったことについてまで思いを馳せてしまった。
あと、気になったけど誰かわからなかった方!
・汽車のシーンで薄水色のドレスを着てたお姫様みたいな顔の娘役さん
・白鳥の湖で黒い格好で踊ってた男役さん(バレエうますぎ)
心当たりのある方は教えてください…笑
ということで、こんなに自分の大好きが詰まったミュージカルに出会えた幸福感に包まれています。早く日本語版音源出て欲しい…!Spotifyにブロードウェイ版サントラが入っているのでずっと聴いてます。
こんなに大好きって思うミュージカル、天使にラブソングを以来かもしれない。つまり私はブロードウェイ型のミュージカルが好きなんだな、ということをしみじみ感じました。 これがエンターテイメントじゃあ!!!!!みたいな作品が好きなんだと思います。
ああ〜〜東京公演も観たいよお〜〜宝塚ってどうやったらチケット取れるんだよお〜〜〜と既に病んでいますが、がんばりたいと思います。コロナがこれ以上悪化せず、無事に公演できますように…
過去の宝塚感想
関西旅行の話